第1回「日台品格・道徳教育イノベーションフォーラム」を台湾・台北市で開催

 8月29日(土)、モラロジー道徳教育財団は、財団法人張榮發基金会が主催する第1回「日台品格・道徳教育イノベーションフォーラム」に参加、学校法人廣池学園、財団法人誠致教育基金会と共催しました。当日は、台湾・台北市の張榮發基金会国際会議センターを会場に、台湾の公立学校の校長・教頭をはじめ、教育関係者など32名が参加しました。

 本フォーラムは、日台双方の教育現場における実践や知見を共有し、道徳教育・品格教育のあり方や、AI時代に求められる教育と倫理などについて議論を深めることを目的に開催。冒頭、主催者を代表して張榮發基金会の鍾徳美執行長が挨拶し、創立者である故・張榮發氏が道徳教育を重視してきたことや、当財団が発行する『ニューモラル』を参考に『道徳月刊』を発刊した経緯を紹介し、今後の日台の教育交流への期待を述べました。

 午前は「学校におけるいじめと品格教育」をテーマに、当財団の井上和行常務理事が道徳教育の重要性について講演。少子高齢化や労働力不足など、アジア各国が共通して抱える課題に触れ、家庭で育まれる感謝や思いやりの心が人格形成の基盤となることを紹介しました。続いて、台湾の雲林県宜梧中学校の張碩玲校長、雲林県樟湖生態小中学校の陳清圳校長、屏東県三和小学校の陳昭廷校長が、品格教育やいじめ、人間関係の課題などについて教育現場での実践を紹介。家庭や学校、地域の大人が自ら模範を示すことの大切さや、良好な人間関係づくりを通していじめを減らす取り組みなどについて意見を交わしました。また、当財団の堀内一史国際部長は、麗澤大学が掲げる「知徳一体」の理念や教師の育成、道徳教育などの実践について講演。麗澤各校の寮教育を例に、日常生活を通じた人格形成の重要性について紹介しました。

 午後は、生成AIが教育にもたらす可能性と課題について意見を交わしました。張榮發基金会が開催する「道徳月刊作文コンクール」を題材に、「道徳をテーマとする作文をAIに代筆させてもよいのか」という問題について議論。台湾のジャーナリスト・陳俍任氏は、生成AIの利用をめぐる近年の事例を紹介し、創作活動への敬意と公正な評価について問題提起しました。これを受けて井上常務理事は、様々なテクノロジーを活用する能力だけでなく、人としての倫理観や思考力を育てることの重要性を指摘。また、台湾の高雄市勝利小学校の李進士校長、屏東県長榮百合小学校の陳世聰校長は、AIが学習や創作を支援する一方、生きることへの実感や価値を選択する力、他者を理解する力は、人と人との実際の交流を通して育まれることを強調しました。花蓮県三民中学校の林国源校長は、テクノロジーを活用して都市と地方の教育格差を縮め、子供たちが世界を探究する機会を広げることなどを紹介しました。

 今回のフォーラムでは、いじめや人間関係、生成AIの普及など、日台の教育現場が共通して抱える課題について、それぞれの実践や知見を共有しました。社会環境やテクノロジーが急速に変化する中においても、他者を思いやる心や適切な価値判断力、社会的責任感などを育む教育の重要性が改めて確認されました。今後も日台の教育関係者が互いの実践から学び、道徳教育・品格教育のさらなる充実に向けた交流を深めていくことが期待されます。