令和5年 伝統の日「感謝の集い」を開催

 モラロジー道徳教育財団(千葉県柏市)は、関連法人である学校法人廣池学園との共催で、毎年6月の第1日曜日に伝統の日「感謝の集い」を開催しています。この集いは、両法人の創立者・廣池千九郎(法学博士)によるモラロジー(道徳科学)創建の目的を再確認するとともに、さまざまな先人・先輩の恩恵に感謝し、その恩恵に報いる心を新たにする日として開催しています。

 本年は、4年ぶりとなる対面式とオンラインによるライブ配信形式で開催。当日は、当法人の理念・目的に賛同する全国の会員や関係者など約1,500名が第一会場に、また園内の第二~四会場に約2,800名が集い、同時に、公式ホームページの特設ページを通じて多くの方が配信を視聴しました。

 

交声曲「稀人」(まれびと) の演奏

 

●基本を固め、社会貢献を

 当財団と廣池学園の近況を紹介したオープニングムービーの上映後、廣池幹堂理事長による挨拶がライブ中継されました。

 廣池理事長は、モラロジーの創建者・廣池千九郎(法学博士)の立志説として「人間としてまず大切なことは志を立てることである」と書き残していることに触れました。そのうえで、教育者、歴史学者、法学者を目指し歩んだ軌跡を紹介しました。

 続いて、悠久の昔から天皇と皇室の存在が日本国民の心の支えになってきたことを強調。激動する情勢の中で国民の安心・平和・幸福を祈り続けてきたことに触れました。

 最後に、「個人生活の基本は、家庭・家族・地域社会・国家の安定です。基本をしっかりと固め、人類の歴史を貫く法則に従い、お互いに社会貢献活動に邁進していきましょう」と呼びかけ、講話を結びました。

 

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●「国防と教育」をテーマに

 午後には、学びの集いとして「国防と教育」をテーマに、織田邦男氏(麗澤大学特別教授、元航空自衛隊空将)、葛城奈海氏(ジャーナリスト、防人と歩む会会長)、中山 理氏(当財団特任教授、麗澤大学特別教授・前学長)による特別講演会を開催。

 はじめに、中山氏が、軍事問題や国防問題を無視してきた日本のメディアを批判し、「日本は戦後、『軍事』ということに過剰に反応し、国防という視点が抜け落ちてしまった」と指摘。次の講演者である織田氏にバトンを渡しました。

 織田氏は、航空自衛隊の現場に身を置いてきた経験をもとに、日本が現在おかれている状況をつぶさに説明。外交によるだけでは平和を守ることはできないと述べ、武力保有によって抑止力を持つことの重要性を強調しました。

 続く葛城氏は、幼少の頃、環境問題への関心を持ったことをきっかけとして、過去の日本人たちのおかげで今があることへの気づきから、国を守ることの大切さや国防の問題に目覚めたと述べました。平成13年に予備自衛官補制度ができると、真っ先に応募。一期生として採用され、平和のためには「よき日本国民たれ」という教育が何をおいても大切であると痛感したエピソードを披露しました。

 織田氏と葛城氏が安全保障・国防問題の最前線での体験をそれぞれ語られた後、中山氏が「孫子の『兵法』には、”戦わずして勝つことが最善”とあります。戦わないためには、相手に当方の戦う気概を見せる必要があります。武を用いるには品性が必要で、高い品性を持ちながらも充分な武力を持ち、それを使用するのはやむを得ない時に限り、武力を使わずに相手に戦う気を失せさせることが大切で、武力を持つことと平和は決して矛盾するものではない」と述べ、講演をまとめました。