金子正人 – 道徳と政治活動
道徳は私生活から社会生活まですべての活動に関りがある。歴史というものは、人類が誕生以来、先人たちが個人と社会の幸せの実現のために試行錯誤を繰り返した物語と言える。
その過程で今から2700年前から2000年前ごろにかけて、世界の4聖人が現れ、この教えは普遍的なものとして現在に至るまで私たちの生き方の指針となっている。
●孔子の生き方とその主張
私は最近「孔子」の生きざまについて学ぶ機会があった。孔子は、
- BC552年に中国の曲阜に生まれ。
- 20歳代で魯の国に任官し、書庫の管理をしながら学問し、牧場の管理で馬術を習得した。
- 30歳代のころ主君の昭公が追放されると、孔子も周に亡命。その間斉の国の君主が孔子を登用しようとするが、宰相により阻まれ。その後弟子をとって教育活動を始め、顔回や子貢らを育てた。
- 52歳のとき、魯国の宰相になり大司冠も兼ねた。
- 55歳のころ国内の内部抗争により失脚し巡行の旅に出て13年間諸国を転々とする。
- 69歳のころ魯に帰国し、国政に関する意見を進言し続ける。
- 74歳で死去。
と、春秋時代の中国は群雄が割拠しまさに弱肉強食、国を失った人々は支配者に蹂躙されるがままの混沌とした社会であった。
このような状況で、身近なところから世の中を少しずつでも良くしていこうと人々に向かって、人生の目的を示し、一方ではより多くの人を幸せにするには国の秩序と安定が必要であるとして、弟子たちを推薦し政治に参画させた。
●政治は生活に関わっている
今私たちは先人の努力により「国民主権」が保障されているが、先の総選挙の投票率は50%を少し上回る現状であり、政治に対する国民の関心は高いとはいえない。例えば、国の根幹である憲法の改正について国会での議論や発議が遅々として進まないのも、自分の身近な生活に政治が大きく関わっていることに多くの人々の気づきが少ないからではなかろうか?
道徳は生活のすべての基本である。経済活動に関わる多くの人が「道経一体」に取組むように、孔子も目指した道徳による治世の実現のためにも、一人ひとりが今よりもう少し「日本をよくする」ために「道政一体」という意識をもって他者へも働きかける政治的な行動が必要ではなかろうか。
(令和3年12月4日)
※道徳サロンでは、ご投稿を募集中!