山岡 鉄秀

山岡鉄秀 – 道徳二元論のすすめ7 – 感染症さえ覇権拡大の道具にする不道徳の極み

山岡鉄秀

モラロジー研究所 研究センター研究員

武漢駅

 

●「封じ込めに成功」は本当か?

 世界中で新型コロナウィルスが猛威を振るっています。日本も含め、多くの国々が感染拡大を防ごうと呻吟としています。当初日本のテレビに登場した専門家たちは、「致死率は低い、日本ではまだインフルエンザの方が脅威」などと言っていました。私はウィルス発生の地である中国武漢市の悲惨な状況を見ながら、そんな呑気なことを言っていていいのか? と思い、「中国が伊達に一千万都市を封鎖するはずがない、警戒が必要だ」と言い続けていました。するとなんとヨーロッパで次々と感染爆発が発生しました。特にイタリアやスペインの惨状は目を覆わんばかりです。

 

 その一方で、当事者の中国は、なんと、「中国はすでにウィルスの封じ込めに成功し、世界に貢献する用意がある」と言い出しました。そして、日本や諸外国にマスクや医療器具を援助として送り始めたのです。ここで注目すべきは、このような状況で決して謝ったりしないということです。日本人なら、「この度はわが国から発生したウィルスで諸外国の皆様に多大な迷惑をお掛けしてしまいました。誠に申し訳ございません。お詫びして済むものではございませんが、せめてご支援させていただきたく、不十分ではございますが、お受け取り頂けますと幸いでございます」などと言いかねません。しかし、そんな国は地球上にほぼ存在しません。ましてや中国です。自分たちこそいち早く問題を収束させ、世界に貢献する正義の味方であるという情報戦を始めたのです。

 

 しかし、すでに封じ込めに成功し、新たな感染者はゼロになった、というのからして嘘です。当局の発表に対し、武漢の医師が「そんなのは嘘だ」と反論し、日本のメディアでも報道されました。当局の公式発表に異を唱えるとは、よほど切羽詰まっているのでしょう。この医師がその後逮捕されていないことを祈ります。もちろん、嘘の発表は不道徳ですが、こんな有様ですから、そもそも全体の感染者や死者の数自体、正しいとは思えません。

 

●重大局面に非難合戦

 比較的早く中国からの入国を禁止していながら、結局感染が急速に広がってしまったアメリカから、「世界の対応が2か月遅れ、深刻な事態となった。情報を隠蔽していた中国の責任だ」という中国批判の声が上がりました。武漢市政府が当初情報を隠蔽していたことは事実で、いち早く危機を告発した医師グループを拘束し、「もうデマを流しません」と一筆書かせたりしていました。WHOに圧力をかけて、緊急事態宣言のリリースを遅らせたりもしました。これによって世界の初動が遅れて被害が拡大したことは間違いありません。

 

 それでも中国は謝罪するようなことはしません。それどころか、驚くべきことに、「ウィルスの起源はアメリカかもしれない」と言い出したのです。これに激怒したアメリカは、「チャイナウィルス」と連呼して反撃し、中国政府を訴える訴訟まで始まっています。中国側もさらにそれに反撃する構えです。

 

 この全人類が危機に晒されている重大局面に、なんと非難合戦となってしまいました。日本人の道徳観からは想像もできないことです。しかし、はっきり言って、ここまでなら国際社会ではよくあることです。基本的に自分の責任を認めて謝るような国はありません。唯一、悪くなくても謝る不思議な国が極東にありますが。

 

●世界中に惨禍をもたらしても

 真に驚くべきは中国のさらなる行動です。大々的にコロナ関連海外援助を報じ、正義の味方を演じながら、なんと、援助とのバーターで、次世代通信技術の5Gなどの中国製インフラを売り込もうとしているのです。感謝してくれるなら、中国の技術とサービスを導入しなさい、というわけです。転んでもただは起きないどころではありません。

 

 これが貪欲な商魂の表れだと思ったら大間違いです。そんな甘いものではありません。5Gのインフラは、第4次産業革命の中核技術です。都市機能のすべてをネットワークでつなぐ、スマートシティという構想がありますが、その基盤となる5Gは水道や電気と並ぶライフラインであり、5Gの掌握は生殺与奪の権を握るのと同義です。だからこそ、アメリカに代わる世界覇権を目指す中国はヨーロッパ諸国に5Gを売り込むことに血道をあげているのです。それに成功すれば、米欧を分断し、現在の覇権国家アメリカを孤立させることができます。

 

 免疫が弱い人間に深刻な肺炎を起こさせる新型コロナウィルスは、武漢のウィルス研究所から漏れたという説が根強くあります。その真偽はさておき、武漢のウィルスがこれまでのウィルスにない特徴を持っていることは確かです。それは、一見毒性が低いように見えて油断させ、感染を広範囲に広げてから確実に一定数を死に至らしめる機能です。東北大学大学院の押谷仁教授が「油断させて悪さを働く非常によくできたウィルス」と言ったとおりです。できそこないの類ではありません。

 

 そのようなウィルスを発生させ、世界中に惨禍をもたらして何万人も死に至らせても、謝罪するどころか、それさえも自らの覇権拡大に利用する。これはまさに悪魔的所業であり、不徳などというレベルを凌駕しています。

 

 これが国際社会の現実です。日本はこんな恐ろしい世界で生き残っていくことができるでしょうか? それはひとえに、ひとりでも多くの日本人がこの現実に気づくことができるかどうかにかかっているのです。

 

 

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