台風19号により被災された皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

エッセイ

日本だけが我々を見捨てなかった~エーゲ海で難民を救った日本人~

 

『島国日本だけが我々を見捨てなかった。「ありがとう日本!」~エーゲ海で難民を救った日本人~』

 

 アルメニアという国をご存知ですか?
我々日本人にとって馴染みの薄い国かもしれません。
アルメニアは、1991年ソ連の解体とともに独立し、自由主義国家になった国です。

 

アルメニアの人々は、日本とは地理的な距離の長さにもかかわらず、親日の方が多いのです。なぜでしょうか。

 

 それは、100年前に、日本とアルメニア&ギリシャに、ある歴史的秘話が存在していました。
1919年から3年間続いたギリシャ・トルコ戦争の終盤となる1922年9月8日、ギリシャ系とアルメニア系の難民は、政府からの援助を得られないまま、トルコ軍によりトルコ西部の都市、イズミルへ追いやられていました。
戦争末期の混乱下とあって、他国の船が自国民を中心に救出する中、当時イズミルに寄港していた日本の商船の船長だけが、難民救出に動いたのです。

 

 当時、船には絹やレースなど貴重な商品が満載されていたのですが、船長は船員と共に積み荷の大部分を海に投げ捨て、難民を乗せるスペースを確保。
その後、難民を船に乗せ、ギリシャの海岸まで無事輸送しました。
この日本人船長の勇気ある決断により、800人の難民が命を救われたのです。

 

 救われた難民の証言の数々は、船上での日本人の礼儀正しさや、親切さを非常に鮮明に表しています。
 尚、その日本人船長の名前は、いまだに不明のままなのです。

 

 驚くことに、ギリシャでは100年近く前の出来事ながら、今でも日本人船員の慈悲深さを示すこの出来事が忘れられていません。

 

 人から人へ、世代から世代へと語り継がれ、今日まで守られているのです。
驚くことに、ギリシャ人の中には、「ココロイタイ」という日本語を知っている人が多くいます。
外国で聞く日本語としては、かなり奇妙な言葉です。
あの時、日本の船に救助されたギリシャ人が、日本人船員の話すた「ココロイタイ」(心が痛みます)(心の痛みはいかばかりでしょう)という表現を覚えていて、口伝えに今のギリシャ人に伝わっているのです。

 

 2016年7月、ギリシャ難民の団体「エスティア」により、敬意を示すプレートが、ギリシャの西林日本大使に授与されました。
当時ニューヨーク・タイムズ紙もこの件を大きな記事にしています。

 

 しかし、なぜか日本では、外務省がギリシャメディアの関連記事を紹介しているだけで、日本のネット上にさえほとんど情報がありませんでした。
この歴史は秘話を、最近になって主にアルメニアのインターネットサイトが取り上げており、アルメニア人とギリシャ人の間で大きな反響呼んでいます。

 

 この船長と乗組員たちの勇気と行動力、そして人心救済を最優先したとっさの判断力と、正義感が日本中の人から人へと広がればと願います。

 

(菅野倖信メールマガジン:「特選やさしさ通心№029」より)

 

菅野倖信(すがの よしのぶ):㈱オリエンタルプロセス代表・モラロジー研究所特任教授

 

 

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