窓が一枚割れていると……
使われなくなったビルの窓が一枚割れていると、ほかの窓を割ることにも抵抗がなくなるものです。また、これが補修されないままだと、「このビルは誰からも管理されていない」というサインになって、自然と非行少年たちが集まって犯罪の温床となり、その地域で犯罪が増加するのです。
これを社会学では「破れ窓理論」といって、犯罪防止のためには、最初の小さなきっかけをつくらないことが大切であると考えます。
私たちも、きれいに整備された道にゴミを捨てることに心理的な抵抗があっても、少しゴミが目に付くようになると、何気なく捨ててしまう人が増えてくるでしょう。こうして少しずつゴミは増えていき、ゴミがたまればたまるほど心理的抵抗は弱まって、その結果、ゴミの山が生まれます。
“皆がやっていることだし、自分一人ぐらい大丈夫だろう”という気持ちが、大きな問題を生むことになるのです。
『ニューモラル』402号,『366日』7月25日