分類:C2
これで三方どちらもよい
廣池千九郎(モラロジーの創建者、法学博士。1866~1938)が三人連れで講演先へ向かう際、事故で列車が不通になり、タクシーに乗ることにしました。そこへ先を急ぐという人が二人、同乗を頼みに来ます。当初「三人が乗って二十円」という契約をしていた廣池は、全員で五円ずつ出すことを提案し、次のように説明しました。
「私は無料で同乗させてあげても差し支えないが、運転手さんは契約と違うから、不愉快な思いをしなければならない。そこであなたたちもお金を少し出せば、その分運転手さんに多く払うことができ、あなたたちも気軽に乗って行ける。私たちも窮屈な思いはするが五円だけ安くなるので、これで三方どちらもよいことになるでしょう」
日常生活の中でも、何か物事を行うときには、常に自分・相手・第三者が共に喜ぶことのできる「三方よし」の視点を大切にしたいものです。
『ニューモラル』514号,『366日』10月26日