相手があって成り立つ仕事
私たちは、なんのために働くのでしょうか。会社のため、お金のため、家族のため、充実感を得るため、世のため人のためなど、人によって理由はさまざまでしょう。
夏目漱石(一八六七~一九一六)は、次のように述べています。
「己のためにするとか人のためにするとかいう見地からして職業(仕事)を観察すると、職業というものは要するに人のためにするものだということに、どうしても根本義を置かなければなりません。人のためにする結果が己のためになるのだから、元はどうしても他人本位である」(「道楽と職業」)
仕事とは、相手があってはじめて成り立つものです。この一点について考えてみただけでも、まずは人の役立つことを考えて他人本位に働くことが、結局は「自分自身のため」になるといえるのではないでしょうか。
『ニューモラル』426号,『366日』8月20日