相手の立場に立った交通指導
Kさん(66歳)は毎朝、地元の小中学生の通学路で交通指導をしています。通勤ラッシュで車が多くなる時間に信号のない交差点に立ち、誘導灯で華麗に車をさばいて、子供たちを安全に横断させていくのです。Kさんはこう語ります。
「交通指導を始めた当時はピーッと笛を鳴らして車を止めたんですが、今は吹かないんです。自分が笛を吹かれたらびっくりしますし、先を急いでいたらイライラするでしょう。無理に止めたらドライバーはイライラして、ほかの場所で事故を起こしてしまうかもしれません。だから、まずは車を通して、次に子供たちを渡すんです」
今ではKさんの姿を見ると自然と停車するドライバー、「待たせてすみません」と頭を下げるKさんに「お互いさまですよ」とお辞儀で返すドライバーが増えてきているそうです。――思いやりの心は、周囲に温かい人間関係を生むのです。
『ニューモラル』455号,『366日』1月22日