人に忠告をするとき
人をたしなめようとするとき、気をつけなければならないのはどんな点でしょうか。
“自分は正しいことを言っている”“自分は悪くない”――そうした思いが強いときほど、自分の思いにとらわれ、相手の気持ちや周囲の状況が見えにくくなります。しかし、相手の言動などの表面的な部分だけを見て責め立てるのでは、それがどれほど正しい忠告であっても、相手は「非難された」ということ自体に抵抗を感じるでしょう。誰でも自分のことを否定されれば、悲しく嫌な気持ちになるものです。そこで「心の扉」が閉ざされると、お互いを理解し合うことは難しくなります。
「心の扉」は“自分を理解してもらえた”と実感したときにこそ開かれ、相手への親しみや信頼が増していきます。自分の思いを一方的に通そうとするのではなく、まずは自分から、相手の心や状況に思いを馳せることを心がけたいものです。
『ニューモラル』496号,『366日』3月4日