分類:B4
たったひと言でも
葉子さんが大学を卒業し、社会人になったばかりのころの話です。
慣れない業務や人間関係のストレスから“自分はこの仕事に向いていないのでは”と悩んでいた葉子さん。そんなとき、先輩のみどりさんからこんな言葉をかけられました。「この書類、あなたが書いたの? いい字を書くわねえ。きりっとしていて、品があるわ。こういう字、私、好きよ」と。葉子さんは目の前がぱあっと明るくなり、“また明日から頑張ろう”という気持ちがふつふつと湧いてくるのを感じました。
以来、みどりさんの言葉はいつも葉子さんの頭の中にあり、心が沈んだときにはこれを思い浮かべ、自分を励ましていました。そのうちに“そうだ、きりっと一本筋が通っていて、みんなから好かれる人になろう”とも考えるようになったのです。
たったひと言でも、人の生き方を大きく方向づけることがあるのです。
『ニューモラル』453号,『366日』5月6日