分類:B3
挨拶から始まる円満な人間関係
昔は田畑に水を引くことも、一人の力ではできませんでした。村人が協力し合ってはじめてできることだったのです。その協力の輪の人間関係を支えたものの一つが、挨拶だったといえるでしょう。下を向いて農作業をしている人の前を通るとき、畦を歩いていく人は必ず声をかけるという約束事が存在した地方もあったそうです。
共同作業を必要とする仕事という点では、漁業の場合も同じだったのでしょう。また、工業を仕事とする場合も、原料の仕入れ先や品物を納める先との関係を抜きにして暮らしは成り立ちません。商業に至っては、品物を人から人の手に渡すことで商売が成り立つのですから、挨拶によって人間関係を良好に保つことは不可欠でした。
日常の挨拶は、集団生活を円滑に営むための必須の要因です。こうした挨拶の持つ力を、今、あらためて大切に考えたいものです。
『ニューモラル』479号,『366日』1月8日