よき人生は、日々の丹精にある
「南無の会」会長を務めた松原泰道師は、高齢者に「丹精の美しさ」を持つことを勧めました。丹精とは真心を込める意味で、これは心の美しさについて説いたものです。
茶器や花器は、古いものに価値があるといいます。しかし、割れてしまっては芸術品としての価値は下がるでしょう。壊れないように大切に丹精するからこそ、値打ちが出てくるのです。松原師は次のように述べています。「人間もやはり同じで、いかに高齢な人でも、愚痴を言ったりひがんだり、自分の感情のまにまに生きているのでは、丹精とは言えません。丹精された美しさこそ、若い人の、及びもつかない美しさであり、その点だけでも学ぶ点があると思います」(『禅のこころ』日本放送出版協会)。
「何事からも学ぼう」との心構えがあれば、日常生活も心を磨く場です。物事に固執しない心、慈しみの心は、若い世代にとっての生きたモデルにもなります。
『ニューモラル』296号,『366日』9月9日