分類:A5
なせばなる
「勇なるかな勇なるかな、勇にあらずして何をもって行わんや」
これは、江戸時代の儒学者・細井平洲(ほそい・へいしゅう)が、財政破綻寸前の米沢藩の藩主に就任する直前の上杉鷹山(うえすぎ・ようざん)へ贈った言葉です。
鷹山はその教えを胸に、藩の財政改革に取り組みます。江戸での生活費を千五百両から二百両まで減額するなどの倹約を行い、城内につくった畑をみずから耕すなどして民を励ましました。古参の家老との対立もありましたが、鷹山は改革を推し進め、財政再建の基礎を築きました。そして、次の藩主に家督を譲る際には「なせばなる、なさねばならぬ何事も、ならぬは人のなさぬなりけり」との教訓を与えたといいます。
私たちも「よいこと」をしようとするときにはためらうことなく、「なせばなる」の心意気で、勇気を持って取り組みたいものです。
『ニューモラル』501号,『366日』4月17日