道徳の授業:正直・誠実

分類:A2 A3

「離見の見」

 室町時代に能を大成させた世阿弥は、「離見の見」という言葉を残しています。

 舞を舞う演者の観点を「我見」、舞を見ている観客の観点を「離見」と言います。我見では、目の前や左右を見ることはできますが、自分の後ろ姿や演じている姿は見えません。しかし離見では、演者には見えないところまで見ることができます。

 世阿弥は、舞うためには我見だけでなく「離見の見」が必要であると説いています。つまり、演者は自分が見ているものだけでなく、観客の目を通して「演じている自分の姿」を客観的にとらえてこそ、芸を完成できるということでしょう。

 私たちも「我見」によって物事を一方的に決めつけ、一面的に判断していることはないでしょうか。世阿弥の教えを人生の教訓として味わいたいものです。

『ニューモラル』470号,『366日』8月13日

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