「心の眼」を曇らすもの
食べたことがなく、味もよく分からないのに“嫌いだ”と思い込むことを「食わず嫌い」といいます。人間関係においても、私たちは他人のほんの一面をとらえて“あの人とは性が合わない”と決めつけ、避けてしまうことはないでしょうか。これは相手に対して失礼なだけでなく、自分にとってももったいないことです。
「心ここに在らざれば、視(み)れども見えず、聴けども聞こえず、食えども其(そ)の味を知らず」(『大学』)という言葉があるように、私たちの物の見方やとらえ方は、その時々の「心の状態」に大きな影響を受けています。
些細な思い込みが「心の眼」を曇らせたとき、他人の美点や長所も「視れども見えず」の状態になるのでしょう。心の曇りを晴らして、豊かな人間関係を築いていきたいものです。
『ニューモラル』436号,『366日』6月11日