初めて寄付先を選ぶ際のポイントは?寄付の種類から知っておきたい注意点まで解説
寄付は、気軽にできる社会貢献の一つです。善意を少しでも社会の役に立てたいものですが、初めて自発的に寄付をするときには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。今回は、初めて寄付先を選ぶ際に押さえておきたいポイントと、その際に参考となる情報をお伝えしていきます。
寄付とは
「寄付」は、一般的によく知られた言葉です。しかし、そもそも寄付とは、どのような行為でしょうか。はじめに、寄付の意味とその概要を説明します。
●寄付と募金の違い
寄付は、お金や物品など自分の財産の一部を特定の団体へ無償で提供する行為です。「行動を通じて、自分の考える理想的な社会を実現する」という希望が根源となっています。一方、募金とは「お金を募ること」を意味しており、主に団体が特定の目的のために、金銭を集める活動です。
つまり、自発的に自分のお金や物品を提供するのが「寄付」で、そうした人たちの善意を集めてまとめるのが「募金」です。
●寄付の使い道
寄付の使い道は、集め方や状況によって異なりますが、主に以下の3つに分類されます。
・被災地への支援
災害などで大きな被害を受けた人に対して、支援物資を届けるための原資となります。物品の購入や配送費、現地での活動資金として使われるのが一般的です。
・義援金
義援金としてお金が集められる場合は、被災者に対して直接分配されます。各人の復興のための費用や、当面の生活を支えるために使われるのが一般的です。
・NPO・NGOなどの社会貢献組織の活動資金
社会的な課題解決に、継続的に取り組む団体の活動を支える資金となります。ユニセフやあしなが育英会などは、その代表的な例です。世界の子供たちの命と、健康・健全な育成や親を失った学生の学業資金として使われます。
●寄付の現状
日本は、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに寄付金額が初めて1兆円を超え、その後も以前と比較して高い水準を保っています。さらに、2020年には新型コロナウイルス感染拡大により、2011年を上回る寄付金額が記録されました。
背景としては、有事の際の身近な人・見知らぬ他者との助け合いなどに焦点があたり、社会の意識が大きく変化したことがあげられます。特に、新型コロナ関連の寄付率では、若い世代の関心の高さが特徴的です。また、寄付を取り巻く環境の変化も大きな要因といえるでしょう。例えば、ふるさと納税の市場規模は年々拡大し続けており、自治体への寄付が珍しいものではなくなりました。
さらに、寄附金控除など公的制度の整備も追い風となっています。寄付行為が社会に役立つ行動として広く認知され、税制上の優遇が受けられることで寄付に対しての「お得感」も得られるようになっているのです。これらのさまざまな理由により、日本国内の寄付の現状も大きく変わってきています。
寄付の種類と身近にある寄付方法

寄付を行ううえで知っておきたいのが、寄付の種類です。寄付と言えば、街頭募金を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、寄付の種類はそれだけではありません。
●寄付の種類
・金銭の寄付
寄付として最もポピュラーなのが、金銭による寄付です。近年は、募金箱や現金を届ける以外のものとしてインターネットによる募金も増えています。オンライン上からの募金であれば、クレジットカードやポイントなどでも寄付が可能です。また、団体のサイトに登録して、継続的に一定額の寄付を行うこともできます。
ほかにも、サイトのボタンをワンクリックするごとに、募金ができるケースがあります。
・財産の寄付
土地や建物といった不動産、絵画・宝飾品など価値の高い財産を寄付することも方法の一つです。不動産の場合は、国や自治体、特定の団体で引き受けを行っています。受付方法などについては、各自治体や団体によって異なるため、事前の確認が必要です。なお、寄付したい財産が高額であればあるほど、家族や縁者への相談は欠かさないようにしたいものです。
・物品の寄付
衣類や日用品など、「財産価値」というほどではない物品でも寄付することは可能です。例えば、使用済みの衣類やバッグ、布団といったものでも寄付できる場合があります。切手や書き損じたハガキなども、寄付の対象として受け付けている団体があるので、処分する前に社会に役立てる方法を探してみてはいかがでしょうか。
●身近にある寄付方法
個人として直接的に現金やモノを贈る以外にも、さまざまな寄付の方法があります。
・ふるさと納税
ふるさと納税は、住民票がある自治体以外に対して、寄付ができる制度です。「納税」という名称がついていますが、実質的には寄付となります。ふるさと納税では、寄付した金額のうち2,000円を超える部分について所得税の還付や住民税の控除を受けることが可能です。そのため、寄付をする側には大きな負担がかかりません。
また、自治体の多くが寄付金額に合わせて、特産品などを返礼品としていることも大きな魅力です。
・ふるさと納税
ふるさと納税は、住民票がある自治体以外に対して、寄付ができる制度です。「納税」という名称がついていますが、実質的には寄付となります。ふるさと納税では、寄付した金額のうち2,000円を超える部分について所得税の還付や住民税の控除を受けることが可能です。そのため、寄付をする側には大きな負担がかかりません。
また、自治体の多くが寄付金額に合わせて、特産品などを返礼品としていることも大きな魅力です。
・クラウドファンディング(寄付型)
クラウドファンディングは、インターネット上でプロジェクトに対して出資者を募り、さまざまな事業を実現するための仕組みです。寄付型のクラウドファンディングにおいて支援者は、モノやサービスによるリターンを受け取らず、出資分を寄付として提供します。将来に向けて社会的な意義のある事業を支援することができ、税制上の優遇措置の対象となる寄付については、寄附金控除が受けられます。
・特定寄付信託
特定寄付信託とは、金融機関が契約者から預かった金銭を運用し、選択された寄付先に継続的に寄付金を交付する仕組みです。特定寄付信託を活用することで、公益的な活動を行っている法人や団体に定期的に寄付ができ、社会貢献活動を支援できます。
このように、ひと口に寄付といっても多種多様です。なんとなく難しいこととらえてしまいがちですが、寄付は思った以上に私たちの生活の身近にあることがわかります。
初めて寄付先を選ぶ際のポイント

寄付には、たくさんの種類があることはわかりました。しかし、どこに寄付をすれば自分の意志が確実に役立てられるのでしょうか。ここでは、初心者向けに寄付先を選ぶ際のポイントをご紹介します。
●信頼できる団体かどうか
寄付先を選ぶ際の一番のポイントは、その団体の信頼性の高さです。近年は、寄付を語った詐欺事件のニュースもよく耳にします。ユニセフや、赤十字といった知名度の高いところであれば問題ありませんが、活動実態がよくわからない団体は避けたほうがよいでしょう。最低限、寄付の使い道を公表しており、過去の実績が具体的な活動内容としてサイト内に記載していることが必要です。
「認定NPO法人」や「公益社団法人」という名称であれば活動が公に認められており、基本的に信頼できる団体といえるでしょう。
●活動が社会貢献につながっているか
世の中には、数多くの団体がありますが、なかには社会にどう役立っているのかが不透明なケースもあります。自分の大切なお金を寄付するのであれば、しっかりと社会貢献に結びつけてほしいものです。困窮している家庭や、子供たちの支援となるよう恵まれない世界の子供たちにワクチンを届けるなど、団体の活動が明確に社会貢献につながっているのかを見極めながら寄付先を選んでいきましょう。
●活動内容が一般公開されているか
信頼性の説明でもありましたが、活動内容が広く公開されている団体であれば、寄付の使われ方についても安心できます。具体的な活動内容がわかれば、自分のお金がどこでどのように活用されているのか想像しやすいでしょう。立派な理念やビジョンを掲げていても、活動内容に具体性のない団体は寄付先として避けたほうが賢明です。
初めて寄付をする際の注意点
初めて寄付をする際には、以下の点に注意が必要です。
●控除を受けるには細かな条件がある
寄付行為に対して税的に優遇される制度が、寄附控除です。ただ、控除を受けるためには条件をクリアしていなければなりません。主な条件は、以下の通りです。
・国が認定した団体が寄付先であること(国・自治体・特定公益増進法人・認定NPOなど)
・ふるさと納税のワンストップ特例制度以外では、確定申告が必要
・年間2,001円以上寄付しないと控除を受けられない
また、控除される金額については、いくつかの計算方法があります。寄附控除を受ける場合には、どれが適当か確認しておくとよいでしょう。
●寄付金の用途が不明瞭な団体もある
先述したように、すばらしいスローガンを掲げて寄付を集めながら、お金の用途が不明瞭である団体もあります。すべての寄付が怪しいわけではありません。しかし、寄付先の選択は入念に行い、少しでも迷う場合には「寄付先選びのポイント」を確認するのがおすすめです。
まずはその思いを行動にしていこう
初めての寄付では、わからないこともたくさんあります。しかし、そこで止まってしまっては、いつまでたっても社会貢献への第一歩が踏み出せません。寄付初心者のうちは、知名度の高い団体や、国から認定を受けた組織を対象に選べば安心して寄付ができるでしょう。「社会の役に立ちたい」というその思いを、まずは行動で示していくことが大切です。