不用品でも誰かの役に立つ できることから始める寄付活動
コロナ禍で家の中にいることが多くなり、身の回りの片付けに目が向く人も少なくありません。その際に、多くの人が悩むことに、まだ使えそうな物品の処理があります。自分には不用な品でも、世界のどこかでは必要とされているかもしれません。単純に捨ててしまってはもったいないので、寄付をして役立てたいと考える人もいるのではないでしょうか。今回は、不用品の寄付について参考となる情報をお伝えします。
捨てればゴミ、でも必要な人に渡ればゴミではない

自分にとって不用品でも、そうした品々の寄付を必要としている人は世界中にたくさんいます。例えば、以下のような人たちです。
・発展途上国
・経済格差の大きい地域の貧困層
・戦乱地域
・児童養護施設
・被災地の人々
このような場所では、常に生活用品が不足する傾向にあります。また、そこに暮らす人々を支えるボランティア団体でも、さまざまな物品への寄付を募っています。日本国内でも、低所得世帯や動物保護活動組織など、不用品が役立つ現場は少なくありません。不用品は捨てればゴミとなりますが、必要な人の手に渡れば有用な品です。
国内外の分け隔てなく、不用品に対する需要があるといえます。
どんなものが寄付できる不用品なの?
具体的にはどのような品物が寄付できるのでしょうか。寄付希望として多いのは、主に身の回りの日用品が中心です。これらは、生活に困っている人の直接的な助けとなります。寄付できる不用品の主な例は以下の通りです。
●衣類
被災地や発展途上の国では、清潔な衣類が必要とされます。毛布や布団、タオルといった布製品の需要も高くなっています。例えば、動物の保護施設では、使い古したタオルやシーツであっても使い捨てにできるため、重宝されています。
●学習用具
ノートや消しゴム、定規、鉛筆・色鉛筆、はさみ、クリアファイルなどの文房具を必要とする国も、少なくありません。日本では捨ててしまいがちな古くなった文房具でも、問題なく寄付できます。
●書き損じはがき、未使用はがき、切手
はがきや切手を寄付することで、経済的困難地域の小児用ワクチンに換えられたり、海外協力活動への寄付金にできたりする仕組みもあります。
●雑貨
置き時計や飾り物、クッションや絵画など、雑貨も寄付の対象です。産業がなく、輸入に頼らざるを得ない国やその国の保護施設などで、不用となった雑貨がもう一度生活に彩りを加えることもあります。
●おもちゃ
おもちゃは、子供にとって世界を広げてくれる大切なアイテムです。不用?となったおもちゃは、発展途上の国、また国内の養育施設などに寄付できます。おもちゃの寄付を扱っている組織もあります。
●カバン
ブランド品であればリサイクルショップでも売れますが、それ以外の不用なバックやカバンも、寄付ならばもう一度役立てられます。流行に合わなくなったり、生活スタイルが変わって使わなくなったりしたものや、どこも壊れていないランドセルなど、海外の人々の暮らしの中で再度愛用してもらえることがあるでしょう。
●書籍
書籍を寄付できる場所は、国内外を問わずたくさんあります。身近なところでは、図書館や幼稚園、保育園、児童養護施設などです。また、被災により多くの本が失われたときにも、書籍の寄付は現地の文化の再構築に役立てられます。
不用品を寄付することで、社会貢献につなげられる具体的な例をご紹介します。
●障がい者の雇用創出につながる古本の寄付
つくば市の障がい者就労支援事業所ワーク・イノベーションセンターでは、寄付された古本を回収し、本のクリーニング後にネット販売を行っています。一連の業務を通じて、障がい者の就労支援や自立支援につながるため、不用な本による寄付支援をすることができます。
●ペットボトルキャップ回収から広がる支援の輪
認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会」が行っているのは、ペットボトルキャップの回収です。ペットボトルキャップはリサイクル資源として売られ、ワクチン提供のための原資となります。ペットボトルキャップ2㎏が1人分のワクチンになるのです。
「ペットボトルのキャップ」というごくありふれた不用品から、資源をムダにしないSDGsと幼い命を救う活動ができます。
不用品を寄付する側のメリットってどんなこと

不用品を寄付する側には、どのようなメリットがあるのでしょうか。近年、特に長期間持続可能な世界にするための「SDGs」という取り組みが注目されています。不用品を次の場所で役立てることは、資源の維持のためにできる取り組みの一つです。正しい寄付先に渡すことで本当に困っている人の手助けを間接的に行えるため、社会の一員としての貢献感が得られるでしょう。
寄付先の人々から感謝され、場合によってはお礼の手紙などを受け取ることもあります。自分にとっては不用品でも、寄付することで誰かの役に立ち、世界とつながることができるのです。不用品の寄付を通じて、寄付の重要性を実感できます。小さな行動が人の役に立つことを実感できれば、今後の社会貢献活動の弾みになるでしょう。
実際に不用品を寄付するためにはどうしたらいいの?
① モラロジー道徳教育財団関連で物品寄付ができる方法を紹介
モラロジー道徳教育財団では、随時寄付を募っており、社会貢献の意識を持つ人と社会をつなぐ役割をはたしています。ただ、不用品受付は恒常的に行っていません。災害時など、緊急の場合は物品受付を行い被災者に届けています。モラロジー道徳教育財団を通した物品寄付については、随時公式サイトから確認してみましょう。
② その他の物品寄付が可能な団体を紹介
・オックスファム
寄付による物品を販売するチャリティーショップ運営の草分け的存在です。海外支援中心ですが、日本国内にも関連組織があります。
・国際子ども友好協会
2008年の任意団体開設以来、発展途上国の子ども達に直接手渡しの支援を行っているNPO法人(特定非営利活動法人)です。恒常的に寄付品の受け入れをしていますが、保管の関係上当面は、ぬいぐるみやおもちゃ、新品の文房具のみの受け付けとなっています。
・パワーセラー
不用品を宅配便の送料のみで、無料回収する企業です。リサイクルショップで断られたようなものでも回収し、リユースできそうな物品はフィリピンやカンボジア、ミャンマーなど発展途上の国へ、コンテナで送って支援をしています。
・もったいないジャパン
その名称通り、まだ食べられるのに廃棄される食品や使用できる日用品などを広く集め、国内・海外を問わず、支援を行う団体です。幅広い物資を受け付けていますが、特に活動資金に充てられるはがきや切手など、換金性の高いものは歓迎される傾向にあります。近年の活動では、台風被害に遭ったフィリピンネグロス島への物資支援、養護施設へのランドセルの寄付などがあります。
・シンカブル
寄付のプラットフォームサービスです。誕生日プレゼントの代わりに寄付する「バースデー・ドネーション」や、衣料品の売却益が寄付されるシステムなどがあります。
詐欺団体には注意!
世の中には、「不用品を人の役に立てたい」という善意の気持ちを悪用する事業者も少なくありません。寄付の名目の元に、回収した物品からリセール可能なものを営利目的で販売する業者もあります。もちろん、最初からそうしたシステムを明確にして一定割合で寄付を行う場合もありますが、100%寄付に使うと言いながら価値のある物品を搾取する事業者には注意が必要です。
また、不用品回収業者の中には悪質業者もおり、「回収手数料」などの名目で本来払う必要のないはずの高額費用を請求されることもあります。不用品を寄付するつもりで費用負担が発生してしまうと、その後寄付する意欲が失せてしまいかねません。そのため、悪質業者に関わらないよう寄付先の団体の活動実績をしっかりと調べてから寄付を行うことが大切です。
不用品の寄付から始まる社会貢献
寄付は、金銭だけが対象ではありません。欲しい人、もらって助かる人がいれば、たとえ自分にとっての不用品でも立派な寄付行為となります。家で余っている品物を提供するのであれば、寄付へのハードルがずっと低く感じられるのではないでしょうか。「何か人の役に立ちたい……でもあまり余裕がない」という人でも、不用品の寄付ならばすぐに行動することができます。
不用品を捨てようとする前に、今一度立ち止まって寄付することができないか考えてみてはいかがでしょうか。