社会貢献

個人で社会貢献活動をするメリットを改めて学ぶ

内閣府が公表している「社会意識に関する世論調査」(2021年12月)によると、社会の役に立ちたいと考えている人は約63.9%でした。コロナ禍や自然災害など困難な状況が続く中でも、「誰かを支えたい」という意識が失われることはなく、大きな変化はありませんでした。社会貢献の内容は、福祉や環境保護、教育などさまざまですが、社会の現状や問題点・解決への道筋を考えるきっかけになるのではないでしょうか?

今回は、個人で社会貢献を通じて得られるメリットについて、改めて考えていきます。

個人で社会貢献活動をする上でのメリットとは?


本来、社会貢献活動は自身のメリットを考えることなく行われるものです。誰かのために何らかの行動を起こすとき、見返りを想定していることはあまり考えられません。しかし、結果的に社会貢献活動を行うことで個人にもたらされるメリットもあります。本記事ではお金やモノではない社会貢献の価値について考えていきましょう。

社会貢献を行うことの一番のメリットは自身の「成長」

社会貢献の一番のメリットは、自分自身の心のあり方が向上するということです。行動を起こす際には、社会の現状やそこにある問題を見つめ直します。自分がどのような行動をすることで、誰の何に関して役立つのかを考えるようになるでしょう。社会貢献を通じて「今、社会のどの部分に貢献することが求められているのか」を知ることができます。

さらに、社会課題の原因を学ぶこともできます。なぜ困難な状況になっている人がいるのかを考える、あるいは自然環境の問題となる要因に目を向けていく、といったこともあるでしょう。社会貢献を通してSDGsなどの社会の持続性・連続性を学ぶことができ、自身の生活とのつながりを考えるきっかけにもなりえます。

それらの知識を得ることは、最終的に自分の人生を豊かにする材料となっていくでしょう。社会貢献は、社会の一員であることを強く意識づけ、それまで関心を持たなかった分野にも触れられる絶好のチャンスです。社会貢献を通して得られる経験や思考が、自身の成長を促します。

また、地域活動や福祉活動など直接的にサポートする相手と向き合う場合もあるでしょう。その際に直接的に感謝の言葉を耳にすると、「やってよかった」という思いが強く心に刻まれるはずです。
社会貢献活動から、その後の人生に大きな影響を受けることも少なくありません。一緒に活動する仲間から刺激を受け、新たなつながりが生まれることにもなります。日常生活の枠から離れ、広い視野を養うきっかけにもなっていくことでしょう。

何より社会貢献活動は、人に押し付けられたり義務として行ったりするものではありません。自分の中に湧き出す貢献への意識が行動へと誘います。自発性を持ち、主体的に動くことで自身の行動についての責任感が自然に身についていくことが期待できるでしょう。

個人の社会貢献活動をサポートする企業が存在する


近年は、多くの企業で社会貢献を「企業の社会的責任の一環」と捉えるようになっています。企業自体での取り組みのほか、個人の社会貢献活動をサポートする企業も少なくありません。ここでは4社の事例をご紹介します。

●株式会社セールスフォース・ジャパン
セールスフォース・ジャパンは、クラウドアプリケーションおよびクラウドプラットフォームの提供を行う会社です。同社では、社員の社会貢献を推奨し、就業時間の1%を「シチズンフィランソロピー」といわれる活動に充てるべきとしています。これは、「個人の時間や能力、リソースの活用を通じて世界をより良くする」社会貢献への取り組みの一つです。

同活動の実現のため、年間7日間、就業中にボランティア活動などの社会貢献を行うことを許可しています。また、従業員が必要と考える寄付活動に、会社として年間最大5,000米ドルまで上乗せしています。加えて、企業の持つ専門的なスキルを「技術支援」というかたちで個人の寄付活動に協力してくれるケースも見られます。

「社会貢献を行うことが社員の成長につながる」という理念がこうした活動を支えているのです。これらの取り組みを会社が先導することで、会社に対する従業員の信頼が高まり、最終的に社会からの信頼を得ることにつながるでしょう。セールスフォース社員の多くが社会貢献を実施するようになり、まさに個人と企業、社会とのwin-winの関係性を築いています。

●オムロン株式会社
オムロンは、ボランティア休暇利用者数ランキング1位(2018年度東洋経済調査)です。もともと企業としても社会貢献意識を高く掲げ、災害支援をはじめ国際交流、環境、文化芸術、社会福祉など多分野にわたり独自のプログラムによる取り組みを実施してきました。社員に対しては、就業時間内にボランティア活動の体験機会を提供する「OMRON Group Founder’s Day社会貢献活動」を提供。

社員の自発的な社会貢献活動への参加で、地域社会への感謝を企業として示しています。その内容は「工場近隣での清掃活動」や「植樹(中国・上海)」、「孤児院に本を寄贈(バングラデシュ)」など多岐にわたります。

●ダイワハウス工業株式会社
大和ハウス工業では、2015年から半日単位のボランティア休暇を導入(ボランティア休暇の創設は2005年)し、社員の社会貢献活動を後押ししています。同社では、1年間で最大20日、通算では100日間の失効年休の積立制度を設定し、これをボランティア活動として利用できるようにしており、長期のボランティア休職も実現可能です。

社会貢献に本腰を入れて取り組みたい社員の希望もかなえられる制度となっています。

●パナソニック株式会社
パナソニックでは、2001年に「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs(旧:Panasonic NPOサポート ファンド)」を創設し、NPOの「人材育成」や「組織マネジメント(資金、広報など)」等、NPOの組織基盤の強化を支援しています。特に「Panasonic NPO/NGOサポート プロボノ プログラム」は、社員が仕事で得た専門スキルや経験をボランティアとして提供し、社会課題の解決に結びつける先進的な取り組みです。

Panasonic NPO/NGOサポート プロボノ プログラム

社員は、同プログラムへの参加を通じて社会貢献を行いながら、働くことの意義やモチベーションを感じることができます。

社会貢献は個人の人生を豊かにする活動

世界情勢が大きく変化する今日おいても、一人ひとりの思いやりや社会貢献意識がよりよい社会を拓くための第一歩となることは言うまでもありません。このようなときこそ、私たちは何をすればよいのか、何ができるのかを真剣に考え、行動していく必要があるのではないでしょうか。

 

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