社会貢献

寄付のメリット・デメリットについて学ぶ

コロナ禍の影響もあってか、2020年における日本国内の寄付総額は1兆円を超えました。2011年の東日本大震災以降で最大額です。ふるさと納税の利用も着々と増加しており、寄付行為への関心が年々高まっていることがわかります。寄付をする行為は、言うまでもなく善意の証です。その行為自体には、何も問題はありません。

しかし、知っておくべきデメリットもあります。本記事では、寄付に関するメリットとデメリットについて解説していきます。

寄付の直接的メリットは大きく2つ


最初に、寄付をすることのメリットを2つの観点から紹介します。

●精神的メリット
・メリット①「社会貢献をしている」という実感を得ることができる
寄付は、社会への貢献があいまいな形ではなく、お金という必ず役立つ形で可視化できるため、自身の社会参加を認識できる方法です。日本人がこれまでさまざまな大災害から立ち直れた要因の一つには、長い歴史の中で培われてきた強い共感力があるといわれています。離れた場所の津波や、倒壊した家屋を見て、大きな不安にかられた人は少なくありません。

他人の苦しむ姿を、「明日の自分」に投影する繊細な国民性がそこには感じられます。災害の状態を見て、じっとしていられない気持ちになった場合は、寄付を行うことで自分自身を落ち着かせる効果が期待できるでしょう。現状で何もできない立場だからこそ、寄付により苦しむ人とつながろうとするのかもしれません。

社会のさまざまな問題に対して、どのように関わってよいのかわからないときにも、寄付という行為が選択肢の一つとなります。さらに、自分の寄付体験を他人に伝えることで、より大きな社会貢献の広がりを生むきっかけをつくることもできるでしょう。

●金銭的メリット
・メリット②寄附金控除を受けることができる
寄付をすることで、寄附金控除の対象となる可能性がある点は、メリットの一つです。寄附金控除とは、個人が国や自治体、また控除対象とされる特定団体に寄付をした場合、課税所得から寄付の金額の一部を控除できることです。結果的に、所得税や住民税の軽減が可能です。

寄付行為は、社会貢献活動としての性格が強いため、公益性の高い活動への支援に対しては、税金から一定割合で免除が行われます。こうした制度を設けることにより、国が間接的に寄付行為を奨励しているともいえるでしょう。寄附金控除が受けられる寄付先は、主に以下の3つです。

・国や地方公共団体に対する寄付
・公益社団法人、公益財団法人に対する寄付
・公益を目的とする事業を行う法人、または団体に対する寄付

寄付控除についての詳細は、以下の記事で紹介しています。併せてぜひご覧ください。

「活用したい寄附金控除とは」モラロジー道徳教育財団

寄附金控除は、目に見えてわかりやすい寄付の経済的なメリットです。税金を軽減できるだけでなく、自分自身が支援したい団体や、貢献したい社会問題に対してのアプローチができます。

寄付の間接的メリット 情けは人の為ならず

寄付を通した社会貢献が実を結び、社会問題が解決され自身の生活にリターンが発生する可能性もあるでしょう。実際に、多くの団体や機関が寄付をもとに社会問題の解決を図っています。例えば、自然環境保全を行っている団体への寄付は、自分が生きる世界を守る行動につながるでしょう。

もちろん、直接的かつ短期的な解決は望めません。しかし、人類がこれまでそのように発展してきたことを考えると、自身の生活のためにも寄付活動が有効に働くといえます。また、災害は誰の身にも降りかかる可能性があります。

自分が被災者となったとき、バックアップしてくれる組織があれば、生活を立て直しやすくなります。そうした活動を行う組織や団体への寄付が、いつか自分に戻ってくる可能性も否定できません。

寄付のデメリットってある?


寄付自体は、社会貢献につながる重要な行動です。寄付をすることに、デメリットはあるのでしょうか。まず、お金で寄付するときには当然ですが、金銭的な支出が必要です。もちろん、寄附金控除で税金が軽減されれば、一時的な支出となる場合も考えられます。しかし、寄付する時点ではお金を必要とすることは事実です。自分の意志でお金を捻出する行為のため、無理のない範囲で継続できることが理想的といえるでしょう。

さらに、自分の意図どおりに寄附金が使われないケースがあることが挙げられます。例えば、活動報告が不明瞭な寄付先に寄付をしてしまうと、自分の考えるような寄附金の使い方がなされない場合もあります。

これを回避するには、寄付先をしっかりと選ぶことが最も大切です。活動報告だけでなく、寄附金の活用実績について、数値的な部分まで調べて確認できれば、ムダに使われることを避けられます。基本的に、寄附金控除の対象とされるような公的に認められた寄付先であれば、安心できるでしょう。

寄付行為で得られるメリットが多い

寄付のメリットとデメリットについて見てきましたが、寄付先を慎重に選択し、自分でできる範囲の寄付をしていけば、デメリットといえるものはありません。国が寄附金控除の制度を設けているのを見ても、寄付は社会にとって歓迎されるべき行動です。社会貢献の気持ちを体現でき、自身には充足感や社会への帰属感がもたらされるでしょう。

寄付をすることには多くのメリットがあります。まずは、寄付を通じて誰かに手を差し伸べる気持ちを共有していきましょう。

 

当財団の寄付ページ

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