社会貢献

寄附金控除の上限について知ろう

国や地方公共団体、対象となる法人や組織に対して寄付をした場合、所得税の控除を受けられる制度が寄附金控除です。ただし、寄付した全額が控除と対象となるわけではなく、上限が設けられています。ここでは、寄附金控除の上限について、わかりやすく解説していきます。

【おさらい】寄附金控除って何?

寄附金控除とは、納税者が国や地方公共団体などへ寄付をした場合、所得税や住民税の控除を受けることができる制度です。寄付した金額に応じて所得から控除されるため、税金が減少します。

寄附金控除については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

活用したい「寄附金控除」とは?

一般的な寄附金控除の上限は?


寄附金に対する控除には、以下の2つの種類があり、控除額が異なります。

●寄附金控除(所得控除)の場合

個人が行った寄付行為の対象が、国や地方公共団体、公益団体などの場合は「特定寄附金」となり、所得控除を受けることができます。寄附金控除の上限額は、次のうちいずれか低い金額から2,000円を引いた金額となります。

        

その年に支出した寄付金の合計額

その年の総所得金額等の40%相当額

 

●寄附金特別控除(税額控除)の場合

個人が行った寄付行為の対象が認定NPO法人や一定の要件を満たす公益団体の場合は、寄附金控除に代えて、寄附金特別控除の適用を受けることも可能です。寄附金特別控除では、寄付先によって税額控除の金額が異なるため、それぞれに確認する必要があります。

寄附金特別控除の金額は、以下の式で計算できます。

        

(その年に支出した認定NPO法人等に対する寄附金の額の合計額-2,000円)×40%=認定NPO法人等寄附金控除額

(その年に支出した公益社団法人等に対する寄附金の額の合計額-2,000円)×40%=公益社団法人等寄附金控除額

 

寄附金特別控除の合計額は、その年分の所得税額の25%相当額が上限となります。

寄附金控除の詳細は以下の記事でも確認できます。ぜひ、ご覧ください。

活用したい「寄附金控除」とは?

ふるさと納税の控除上限について


ふるさと納税の控除上限額は、総所得金額の40%が上限とされています。家族構成やその他の所得控除(保険など)で世帯ごとに計算する仕組みです。そのため、控除上限金額は一律ではありません。

すべての条件を加味し、ふるさと納税に適用される金額を求めるためには、非常に複雑な計算を行うことが必要です。自分で計算するのは大変なので、ふるさと納税ポータルサイトのシミュレーションを活用するとよいでしょう。給与収入や家族構成などを入力していくだけで、控除上限額の目安となる金額がわかります。シミュレーションができる、主なふるさと納税サイトには、以下のようなものがあります。

①ふるさとチョイス

②さとふる

③ふるなび

基本的に、どのサイトでも控除上限額がわかります。しかし、シンプルな条件から詳細なものまでサイトごとに特徴があります。いろいろと試してみて、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。

自身の寄附金控除額の上限を超えて寄付をした場合は?

ここまで寄附金控除について紹介してきましたが、上限を超えた部分の寄付金については、控除などの優遇はされません。寄付は、もともと個人の善意の気持ちから行うものです。寄付をしようとする目的によっても異なりますが、寄付行為は無理してまで行うものではないと考えられます。

寄付活動は自身の生活に支障のない範囲で行ってこそ、継続できるといえるでしょう。まずは、自分の控除金額内から寄付活動を始めるのがおすすめです。寄附控除の上限について、事前にしっかりと計算および確認しながら、自分が納得できる寄付活動を実施していきましょう。

寄附控除の対象となる公益社団法人、公益財団法人

先述したとおり、すべての寄付が寄附控除の対象となるわけではありません。寄附控除が受けられるのは、公益を目的とする事業を行う法人、または団体に対する寄付です。国が定めた要件を満たし、財務大臣が指定している寄付先に限られます。主な要件としては以下があげられます。

        

広く一般に募集されていること

教育、または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など、公益の増進のための支出で、緊急を要するものに確実に充てられるもの

引用:国税庁

公益性のある事業を行う公益社団法人、公益財団法人への寄付は、寄附金控除の対象です。寄付先の例として「公益財団法人モラロジー道徳教育財団」をご紹介します。モラロジー道徳教育財団は、1926年に創立され、「道徳で人と社会を幸せに」を指針として、総合人間学モラロジー(道徳科学)および倫理道徳の研究と、モラロジーに基づく社会教育活動を行っている団体です。寄せられた寄付金の主な実績には、以下のような活動があります。

        

青少年育成(自然体験宿泊型セミナー、エッセイ募集、地域の清掃活動)

子育て支援(親カフェサロン、講演会)

学校教育への支援(児童・生徒対象の道徳の出前授業、教員対象の道徳授業の研究会)

災害支援活動(被災地救援活動、復興ボランティア活動)

シニア世代の活躍支援(講演会、健康運動教室)

社会人対象生涯学習セミナー(オンライン・対面)

企業の人材育成(新入社員教育、経営者・幹部対象セミナー)

 

寄付をもとに、青少年の育成から地域社会の道徳化、災害支援など多彩な社会貢献活動を継続しているのが特徴です。公益財団法人として、国から公益性のある団体との認定を受けていますので、寄付金控除の対象です。

国の制度を賢く活用して寄付活動を続けよう

寄付活動は、個人ができる比較的気軽な社会貢献の一つです。国でも、寄附控除という制度を通じて個人の善意による行動を推奨しています。人や社会のために役立つ行為を継続し続けるためにも、寄附控除の仕組みを上手に活用し、寄付活動に積極的に取り組んでいきましょう。

 

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