仕事が社会貢献? 社会貢献が仕事? 仕事の種類について知る
「どうせ働くならもっと人や社会のために役立つ仕事がしたい」と考えることもあるかもしれません。基本的に、どの仕事でも最終的には社会利益へつながっているともいえますが、より直接的に社会貢献ができる職業もあります。今回は、社会貢献を実感できる職種について解説します。
【おさらい】社会貢献活動って何?

歴史的に見る社会貢献活動には、「富の再分配」という思想が根底にあります。「富の再分配」とは、別名「所得再分配」といわれ、事業などで得られた利益を租税・社会保障・福祉・公共事業など、社会の中で公共の富として移転させることです。例えば、戦後の日本社会では、国民が必死に働いて税金を納めることこそが社会貢献となりました。
現代の社会貢献活動は、より広義にとらえられています。お金による経済的貢献だけではなく、ボランティアをはじめとする労働的な貢献も社会貢献の一つです。社会貢献についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。
➡「社会貢献の「意味」について考える」モラロジー道徳教育財団
社会貢献を実感できる職種

社会貢献は大別すると「直接的社会貢献」「間接的社会貢献」の2種類があります。
・直接的社会貢献:社会問題や環境保護、救済事業に関わる行動
・間接的社会貢献:自分の行動が目に見える形の社会貢献ではなくても、結果的に誰かを助けたり社会の役に立っていたりする行動
社会が人の力で成り立っており、さまざまな事業で構成されている以上、どの仕事も間接的な社会貢献を果たしているといえます。ただ、それぞれの仕事に携わる人々が社会貢献をしている実感値をどれくらい得られているかについては、あくまでも主観による部分が大きいというのが現実です。
人の役に立っているという意識は、仕事をするうえでの大きなモチベーションになる場合もあります。そのため、自分の仕事がどのように社会貢献になっているのかを考える時間を持つことも大切といえるでしょう。
●社会貢献を実感できる職種
社会貢献を感じられる職種には以下のようなものがあげられます。
①社会的企業(ソーシャルベンチャー)で働く
社会的企業とは、企業利益を求めることに変わりはありませんが、社会的な問題解決につながる事業内容に取り組む企業を指します。例えば、地方創生を目指し、新しい形での一次産業分野の経営を行ったり、障がい者の就業支援を実現するために積極的に雇用を行ったりすることなどです。
②企業のCSR担当者になる
一般的な営利企業で働いている場合でも、CSR(Corporate Social Responsibility)担当者になることで、大きな資本を用いた社会貢献の旗振り役になる方法もあります。CSRとは、企業の社会的責任と呼ばれ、社会貢献のための取り組みです(企業メセナともいう)。 SDGsへの取り組みが求められていく中、企業の社会貢献部門の役割はますます重要度を増していくと考えられます。
③セカンドワーク(パラレルワーク)で社会貢献に関わる
本業を別に持ちながら、社会貢献性の高いプロジェクトや事業へ参加し、自身の社会貢献を実現することも一つの手段です。報酬を求めるか、ボランティアとして参加するかは本人次第ですが、近年は「副業可」の企業も増えてきています。そのため、ダブルワーカーを実施しやすい環境が整ってきているといえるでしょう。
④自身でNPO法人を立ち上げる
最も積極的なのが、自分の望む形の社会貢献を行うために、NPO組織を立ち上げて活動を行う方法です。NPOは、「特定非営利活動促進法」という法律に基づいて設立する「法人」のため、立ち上げする際は、会則作成や事業計画書の策定などの各要件を満たすことが求められます。また、所轄庁への認証申請や、法務局への登記などの手続きが必要です。
⑤公益財団法人で働く
公益財団法人は、そもそもの成り立ちが社会貢献のために立ち上げられた組織であり、事業内容も営利ではなく公益を目的としたものが中心となります。(詳細は後述)
上記のように、社会貢献を仕事にできる職種は多岐にわたります。気になった職種があれば、具体的に何を行い、どのような貢献ができるのかを調べてみるとよいでしょう。ただ、一般企業でも社会貢献を実感できるケースはあります。あまり可能性を絞らずに、社会貢献に対しての本質的な思考を持つことが重要です。
公益法人はご存じですか?
先述したように、社会貢献を行うために作られた組織の一つに公益法人があります。ここでは、公益法人の活動内容を確認していきましょう。
●公益法人とは
公益法人とは、公共の利益の増進を目的とし、営利を目的としない民間の法人のことです。「公益」とは、不特定多数の人の利益を意味します。宗教や祭祀、慈善、学術、技芸などさまざまなジャンルにわたり、それぞれに公益性が高い法人として存在しています。公益法人の種類は、「社団法人」「財団法人」の2つです。
・社団法人:学術や研究などある目的を持った「人たち」が核となり、形成される組織
・財団法人:企業や個人から提供された「財産」を核として運営される組織
平成20年に施行された新しい公益法人制度により、登記のみで設立可能な一般法人と公益認定基準を満たす公益法人という2つの法人類型ができました。公益法人になるには、認定法に定められた基準を満たし、行政庁(内閣府または都道府県)の認定を受ける必要があります。 広く社会への道徳教育を行っている、モラロジー道徳教育財団も公益財団法人の一つです。
●公益法人で働くこと
公益法人では、営利を目的とせず社会のために事業を行っています。社会貢献性が高く、そもそも公益性の高い仕事しかしない組織といえるでしょう。一般企業の経営方針に対し、公益法人では「営利」という考え方がありません。そのため、純粋に「社会のためだけ」に働くことができます。支援が必要な人や災害支援などに接する機会が多く、直接的なやりがいを感じられる仕事です。
社会貢献を考えているのであれば、就職や転職の際に、選択肢の一つに入れておくとよいでしょう。
社会貢献は形を選ばないということを覚えておこう

これまで紹介してきた内容は、あくまでも「仕事をすることがそのまま社会貢献になる」ことを求める人に対しての話です。
より一層、直接的な社会貢献を目指す方法がある一方で、あえて間接的に支援を続ける方法もあります。社会貢献活動の本質に立ち返って考え、自分のできることから少しずつ実行する意識を持っていきましょう。社会貢献に決まった形はなく、「役に立ちたい」という思いが根幹にあれば、必ず自分なりの方法が見つかります。
一般的な営利企業に勤めていても、定期的に寄付を行ったり、できる範囲でボランティアに参加したりすることで社会貢献を継続することが可能です。気軽に社会貢献をする道としては、寄付活動があります。多種多様な公益法人があるため、そうした組織を通じた社会貢献を始めてみるのもおすすめです。モラロジー道徳教育財団では、さまざまな社会貢献活動への取り組みを継続しています。
社会貢献への参加のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
自分なりにできる社会貢献の形を探す
社会貢献をしている実感は、生きる喜びにもつながります。世の中には、さまざまな仕事があり、直接的な社会貢献ができる職種もたくさんあります。そうした仕事を探してみるのも一つの選択です。
また、これまでと同じ生活をしながらでも、自分に合った形の社会貢献はできます。大切なのは、「社会貢献をしたい」という意志です。自分なりの無理なくできる社会貢献の形を探していきましょう。