寄附金受領証明書とは? 何に使うの?
大災害や感染症の蔓延などにより、困窮した人への支援に目が向けられる機会が増えてきています。身近な助け合いの方法として、寄付を考える人もいるかもしれません。寄付には、税負担を軽減するための制度が設けられていますが、そのときに必要となるのが寄附金受領証明書です。今回は、大切な役割を持つ、寄附金受領証明書について解説していきます。
寄附金受領証明書って何?
「寄附金受領証明書」とは、その名のとおり「寄付をした」ことを証明する書類です。寄付をした金額や受付日、受領した組織名が記載されており、公的な証明書として利用できます。寄附金受領証明書のフォーマットは、一律に規定されておらず、NPO法人や地方自治体、公益社団法人などで異なるのが特徴です。
また、寄付行為が発生した時点で即時発行してくれるケースは少なく、後日送付されてくることが多くなっています。
寄附金受領証明書はいつ使うの?
寄附金受領証明書が必要となるのは確定申告のときです。個人が特定寄附金を支出したときには、所得金額から寄付金額を差し引く優遇制度が設けられています。寄附金控除を受ける際は、寄付金額の証明をするために寄附金受領証明書の提出が必要です。
寄附金控除については、下記の記事で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。
寄附金控除を正しく申告することで、所得税の還付を受けられます。
確定申告時には、以下の書類が必要です。
・寄附金受領証明書
・源泉徴収票
・還付金受取用の口座番号
・印鑑
・マイナンバー
・本人確認書類
・封筒
寄附金受領証明書がなくても寄附金控除申請はできる(ふるさと納税の場合)

最近は、自分の好きな地方自治体に納税を行うことができ、魅力的な返礼品がもらえる「ふるさと納税」が人気です。「納税」という名称を使っていますが、ふるさと納税は寄付行為にあたり、寄附金控除の対象となります。ふるさと納税には、本来必要な確定申告をスキップできる「ワンストップ特例制度」があるため、寄附金受領証明書がなくても個人住民税の控除を受けられます。
ワンストップ特例制度が活用できるのは、以下の条件に当てはまる人です。
・確定申告や住民税申告をする必要のない給与所得者等
・年間の寄付先が5自治体以内の人
通常では、寄付後に自治体からの寄附金受領証明書の到着を待ってから確定申告を行います。確定申告の必要がない給与所得者にとっては手間に感じるかもしれませんが、「ワンストップ制度」を利用すれば、寄附金受領証明書を添付した申告書類を提出する必要がありません。
ふるさと納税をする際に「ワンストップ特例申請書」を寄付先の自治体に提出することで、自動的に翌年度の住民税から控除される仕組みです。
もし寄附金受領証明書をなくしてしまったら?
確定申告の際に提出が必要とされる寄附金受領証明書ですが、なくしてしまったときや間に合わなかった場合にはどうなるのでしょうか。寄附金受領証明書の再発行と、「寄附金控除を忘れた、間に合わなかった」というケースについて解説します。
●寄附金受領証明書は再発行してもらえる?

ワンストップ特例制度を除き、寄附金控除の申請をするためには確定申告時に必ず寄附金受領証明書を提出しなければなりません。寄附金受領証明書がないと、寄付行為の事実も金額も証明できないため、控除対象に入らなくなります。そのため、寄付先の自治体や法人などから受け取った寄附金受領証明書は、確定申告の時期まで手元で大事に保管しておきましょう。
万が一紛失してしまった場合には、寄付先の自治体や法人に再発行を依頼するしかありません。ただし、再発行については寄付先の義務ではないため、再発行するかしないかは各組織の判断に委ねられます。また、再発行できた場合でも時間がかかる場合もあるので、確定申告時期に差し掛かる際は注意が必要です。
●寄附金控除を忘れた・書類が間に合わなかったときは?
確定申告で寄附金控除の適用を忘れてしまったときは、確定申告の更正の請求ができる場合があります。更正の請求の手続きは、該当する確定申告書の提出期限から5年以内です。期限内であれば、寄附金控除の適用を受けることができる可能性があります。また、予定納税や源泉徴収で納めた所得税が本来納めるべき金額より多い場合は還付申告をすれば、納めすぎた金額が戻ってきます。
基本的には、確定申告と同じ手続きですが、確定申告のように2月16日~3月15日という期限はありません。還付申告では、対象となる課税年度の翌年から5年間は、いつでも申告が可能です。申告時期を逃した寄附金控除についても、還付申告を行うことで適用を受けられる可能性があります。
●ワンストップ特例制度以外では寄附金受領証明書の提出が必要
一般的な寄付や、ふるさと納税を行った場合には、「寄附金受領証明書」が発行されます。ただし、一般的な寄付で控除が受けられるのは、条例で指定された団体・組織のみです。いずれの場合でも、ワンストップ特例制度以外では、確定申告時の寄附金受領証明書が必要となります。そのため、しっかりと保管することが大切です。
寄附金受領証明書は、自分の意志で行った寄付行為を証明する重要な書類となるため、寄付やふるさと納税を行った場合は、必ず書類の受け取りを確認するようにしましょう。