海外支援のための寄付活動をするには?
平和な日常生活の中でふと海外の困難な状況を目にし、その深刻さに胸を痛める人は少なくありません。「自分にも何かできないだろうか」という思いを感じたときには、どのような行動が起こせるのでしょうか。今回は、そうした場合の参考となる、海外支援にスポットを当てた寄付活動の情報を紹介していきます。
海外支援ってどんな支援?

はじめに、海外支援の基本的な知識と、支援先となる国について紹介します。
●海外支援の基礎知識
そもそも、海外支援とは何でしょうか。民間レベルでも、さまざまな支援活動を行っていますが、喫緊の課題としては、特に子供への支援が求められているようです。
例えば、ユニセフの報告書によると、世界では毎日1万4,000人以上の子供が5歳未満で亡くなっています。驚くことに520万人もの子供たちが、衛生環境や栄養不足、病気などにより、5歳の誕生日を迎えられずに命を失っているのです。
また、2018年時点で世界の約3億300万人の子供たちが、学校に通えずにいます。本来であれば、就学期にあたるはずの年齢の子供たちが「学習の機会を与えられない」「労働に従事させられている」といった事情で勉強することさえ困難になっているのです。
海外支援と聞くと大きな活動を想像しがちです。しかし、個人が行う寄付のような草の根的な支援でも、世界中で苦しむ多くの子供たちを救うことにつながります。
●支援を必要とする国
・ミャンマー
軍事クーデター後に国内が混乱。国境地域でのミャンマー軍と少数民族武装勢力の紛争が継続し、60万人近くが避難を強いられています。生活が困窮し、物資が不足。モンスーン豪雨などで環境が悪化する中、医療は崩壊し、国外へと脱出する難民の数は増加する一方です。
UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)をはじめとした支援機関が活動を行っていますが、必要な資金の2割程度しか確保できていません。
・カンボジア
カンボジアの人口は約1,530万人(2019年度)で、そのうち国民の半数が1日2ドル以下の生活費で暮らしています。2009年における1日2ドル未満で生活する人口の割合は49.5%、1日1.25ドル未満で生活する人は18.6%という状況です。
また、人口1万人あたりの医師の数は、日本の24.8人に対してカンボジアでは1.9人。国による保険制度も整備されておらず、治療費も払えないため、一生病院に行けない人も少なくありません。医療と資金の不足から、子供が病気で亡くなる割合も高くなっています。
日本では、小児がん患者の8割が助かりますが、カンボジアではほとんどの患者が亡くなっています。
・南スーダン
2011 年7月にスーダン共和国から独立した新しい国家です。独立後も武力衝突が繰り返され、国民は難民生活を強いられ、2人に1人は自分の家を失い国外へ避難しています。食料や安全な水、教育・医療サービスなどすべてにおいて不足しているのが現状です。
亡くなる子供のうち、4人に3人は簡単に防げる病気で命を落としています。また、7割の子供は学校に通えず、十分な教育を受けられていない状況です。
海外支援は何を寄付すれば役に立つのか?

海外支援を行う際には、国内支援とは異なる難しさがあることを理解する必要があります。海外の国々と日本とでは文化が異なるため、役に立つと思って送ったものが実際には使われないケースも少なくありません。
遠い国への支援では、物資を運ぶ輸送コストもかかるため、不用品による寄付は喜ばれないこともあるのです。基本的には金銭による寄付が最も喜ばれるでしょう。現地で本当に必要とされている物品をそろえることができ、きれいな水を確保するための施設づくりの資金にもなります。
一方で、アジア向けの支援などでは、物品による寄付を受け付けている団体もあります。そのため、不用を活かしたい場合は、具体的に「〇〇を寄付してほしい」と指定している団体の募集を探してみるとよいでしょう。
また、不用品を回収し再販した利益で支援を行っている組織もあります。大切なのは「無理をせずに自分なりにできる支援を行う」ことです。
間接寄付と直接寄付
海外支援においては、NPO法人に対して直接個人から金銭などを寄付するケースと、共同募金などでプールした金銭を中間団体が個々のNPO団体へ割り振る形をとる、間接寄付の2つがあります。直接寄付の方が、より自分の目的に沿った寄付が可能となるでしょう。自分の寄付の目的がはっきりしている場合は、直接寄付する形を選んでみてはいかがでしょうか。海外支援NPO団体をいくつかご紹介します。
・認定NPO法人 かものはしプロジェクト
世界で行われている子供の人身売買をなくす活動を実施。世界では、約100万人の子供たちが「商業的性的搾取」の被害にあっているといわれています。「家庭の貧困から親に売られてしまう」「出稼ぎに出てだまされる」など、逃れようのない状況に置かれる子供たちを救う活動を全世界で展開しているのが特徴です。
・認定NPO法人 テラ・ルネッサンス
「すべての生命が安心して生活できる社会(世界平和)の実現」といった目標を掲げ、「地雷」「小型武器」「子供兵」「平和教育」の課題に取り組んでいる団体です。カンボジアをはじめとする、かつて戦場となった地域では、いまだに地雷の爆発による犠牲が続いています。
紛争地帯では18歳に満たない子供が武器を持たされ、殺人を強要されているのです。そうした現状からの脱却を目指し、現場での国際協力、啓発・提言活動を通じた活動を展開しています。
・国境なき医師団
独立・中立・公平な立場で人道援助活動を行う非営利国際団体です。世界各地に38事務局を設置し、アフリカ・アジア・中東・中南米など紛争や自然災害の被害者、貧困などからの医療不足に対応しています。
2020年は88の国と地域で活動を実施。活動は97%以上が民間からの寄付で成り立っており、活動地へ派遣するスタッフの募集も通年で実施しています。
モラロジー道徳教育財団の海外支援
モラロジー道徳教育財団では、公益財団法人日本ユニセフ協会が主催する募金活動に協力し、海外支援を行っています。1979年の第1回から、毎年全国50会場以上で実施。
モラロジーを学ぶ若い世代が中心となって、募金活動に取り組んでいます。ユニセフは、190の国と地域で子供のために活動する国連児童基金です。モラロジー道徳教育財団への寄付を通して、世界の子供たちの幸せに貢献できます。
モラロジー道徳教育財団の関連団体である一般財団法人麗澤海外開発協会も海外支援の拠点です。同協会では、開発途上国における文化・経済の発展に協力するため、人材の育成と技術指導を行っています。具体的には、ネパールやタイ、ラオス、カンボジアなどの国で以下のような取り組みを実施しているのが特徴です。
・医療支援活動
・教育支援活動
・学校の校舎再建・図書館建設
・スタディツアー(タイ・ラオス・ネパールなど)など
世界の平和、人類の安心と幸福に寄与することを目的として1971年に設立され、半世紀にわたって継続しています。
地球全体の平和を願う心を持って海外支援のための寄付をしよう
海外支援は、私たちが思っているほど難しい行為ではありません。世界の現状に少しでも関心を持っているのであれば、いつでも寄付を通じて支援を始めることができます。本記事で紹介した寄付先の多くは、サイト上から簡単に、しかも小額からの寄付が可能です。
同じ地球に住む一人の人間として、世界の一層の平和を願うのであれば、善意の寄付に「海外支援」を真剣に考えて始めてみてはいかがでしょうか。