社会貢献

社会貢献の「意味」について考える

「社会貢献」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、その概念や意味を聞かれた場合、うまく答えられないかもしれません。また、何か特別なことをしなければならないイメージが先行してしまい、自分ではできないと考えている人もいるかもしれません。ここでは、社会貢献の意味を確認し、その行動によって何がもたらされるのかを解説していきます。

社会貢献はどのようにして生まれた概念か


そもそも社会貢献という概念は、どのようにして生まれたのでしょうか。歴史的に見る社会貢献には、「富の再分配」という思想が根底にあります。「富の再分配」とは、別名「所得再分配」ともいわれ、事業などで得られた利益を租税・社会保障・福祉・公共事業などにより、社会の中で富として移転させることです。

例えば、日本の戦後における「社会貢献」とは、利益最大化による納税でした。国が再び立ち上がるためには、企業が売上を拡大することが前提で、そこからインフラ整備に回すための税金と社員やその家族への利益配分が生まれたのです。一般的には、主に経済的な強者が弱者に対して直接的、または間接的に支援をもたらすことが社会貢献とされます。

社会が永続的に発展するためには、弱者を救済し、国全土が安寧を得ること……それが、最終的な繁栄をもたらすために重要な考え方と、考えられます。

 

社会貢献は経済的な貢献だけではない


現代社会の中での社会貢献は、経済的な貢献だけにとどまりません。基本的に、困っている人たちを助けることは重要です。しかし、経済観念だけに縛られてしまうと、本当に求められている社会貢献が果たされない可能性もあります。

なぜなら、金銭のみに限定してしまうと、「貢献する側」「貢献したいと思っている側」に、経済的なゆとりがない場合は、社会貢献の意思があっても行動できない恐れがあるからです。また、援助を受けたいと思っている側が、経済的な支援だけを求めているとは限りません。

自らの時間や労力を提供することで、解決できる問題も多くあるため、まずは自分の身の丈でできることをしっかりと考えるところから、社会貢献がスタートします。さまざまなことが起こりうる社会の中では、どのような人であっても支援される側、支援する側に回る可能性があります。

「自分が人のために何ができるのかを本気で考える」ということが社会貢献の本質であり、第一歩といえるでしょう。

 

社会貢献で得られるメリット

社会貢献は特別な人だけが行う特別な行為ではなく、誰でも気軽に行えるものです。自分の生活が社会に支えられているのと同じく、自分もその一員として行動によって支えることができます。初めは他人の真似事でもよいので、無理のない範囲で自分なりの社会貢献活動を行っていくことが大切です。

●精神的な満足感
2020年に公表された米国のハーバード公衆衛生大学の研究で、ボランティア活動に参加すると寿命が延び幸福感も向上することが、明らかにされています。この研究を踏まえると、人間は他者との絆や貢献感を持つことで、大きな充足感を得られることが分かるのではないでしょうか。「社会に所属する一員かつ、その中で役に立っている」という思いは、行動する人にも生きる力を与えてくれます。

●経験値的な喜び
社会貢献の行動を通じて、さまざまな経験値を得ることができます。多くの人と触れ合い、これまで知らなかった状況に遭遇し、考え、選択しながら動く機会が得られるでしょう。知識の増加や、思考の拡大がもたらされる学習の場ともなります。

●経済的な制度
経済的な支援となる寄付も、立派な社会貢献です。寄付行為については、各種寄付金控除などの経済的な制度もあります。

 

モラロジー道徳教育財団の活動事例

●ジュニアセミナーinかしわ
生涯学習センターでは、毎年夏、子供たちの”生きる力”を育むための「ジュニアセミナー」を開催。
2019年7月29日~31日には、「第11回 ジュニアセミナーinかしわ」を開催し、全国から53名の子供たちが参加。共同生活の中で楽しみながら「いのちのつながり」「チームワーク」などを学ぶ場となりました。ジュニアセミナーのスタッフとして、将来教員を目指す高校生ボランティア21名の参加もありました。

このスタッフを経験して、より子供たちの成長を感じ、「改めて教員になりたい気持ちが増した」などの感想が聞かれました。また保護者からサプライズのお便りをいただき、感動を覚えるシーンもありました。実際に自分たちよりも年齢の低い子供の世話を行うことで経験を深め、他者から感謝される機会を得ることができたようです。

●被災地応援!親子でいくジュニアセミナー
2019年7月13日~15日に「被災地応援!親子でいくジュニアセミナー」が開催され、東日本大震災の被災地を学ぶ旅に合計37名の親子が参加し、以下のような活動を行いました。

・福島県の帰還困難地域の見学
・実際に被害に遭われた方の体験談
・大きな被害のあったエリアへの訪問
・防災林ボランティアとして黒松の木の生長を促すための剪定作業を実施

ノコギリを手にした作業を通じて、松の木を流出させた津波の威力の恐ろしさに思いをはせることができた人もいたかもしれません。また、セミナーに参加すること自体が、社会貢献について親子で話し合うよいきっかけとなったのではないでしょうか。

 

得るものが多い社会貢献

社会貢献の形は人それぞれです。経済的な支援もあれば、行動による支援もあります。いずれの方法であっても、社会貢献をした側にも気づきや新たな思い、充足感・貢献感など多くのものをもたらしてくれることが期待できます。社会貢献は人のために役立つことですが、一方で自身の成長や精神の充実につながる行為といえるでしょう

 

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