社会貢献

そもそも寄付って何だろう? 義援金や募金とは違う寄付の役割

善意や好意、共感、意志をもってお金や物品を提供する行為が寄付です。しかし、同じ読み方で「寄附」の字をあてることもあります。また、寄付と似たような言葉として「義援金」「募金」といったものが使われますが、寄付とはどのように違うのでしょうか。

ここでは、寄付やその他の言葉の意味の違いについて解説しつつ、寄付への理解を深めていくために参考となる情報をお伝えします。

寄付とは? 自発的な「理想を実現するための手助け」をするための金銭である


一般的に、寄付や義援金、募金などは、あまり区別を意識せずに使われていますが、実はそれぞれに違いがあることをご存じでしょうか。混同されがちな言葉の違いについて解説します。

 

寄付と寄附の違い

はじめに、「寄付」と「寄附」の関係です。これらは同じ意味で使われています。「附」という漢字は、戦後の国語改革の際に一度当用漢字から除外されました。その後、常用漢字に代わった際に、「付」「附」のいずれも採用されています。

そのため、現在は同義の言葉として「寄付」「寄附」が混在して使われています。国税庁や総務省など国の機関が使う表示には「寄附」という記載が多く見られます。

 

寄付・募金・義援金の違いは?

被災地への支援や、社会的な弱者の救済といった非営利活動では、寄付(寄附)、募金、義援金などの言葉があまり区別されずに使われています。しかし、厳密にはそれぞれ意味に違いがあり、使われるシーンも異なります。

 

寄付(寄附)

寄付とは、寄付をする人が自発的に自身の実現したい理想や希望に向けて、金銭を特定の団体に贈る行為です。募金活動を実施している「組織」に、お金や物品を贈るのが寄付行為にあたります。例えば、以下のような行為は、寄付に該当します。

  • ユニセフに対して世界の貧困地域に住む子どもたちの健康を願い、お金による援助をする
  • 支援団体を通じて被災地に物品を提供するなど

 

募金

募金とは、その表記通り「お金を募ること」です。団体が特定の目的のために、金銭を集める行為を指します。つまり、「募金する」のはお金を募った組織であって、寄付を行う個々人ではありません。街頭募金やネット募金に対して、お金を提供するのが寄付行為となります。

募金活動で身近な例が、「赤い羽根共同募金」です。国内の知的・身体障がい者や高齢者の支援に役立てるために、各都道府県に設置された「中央共同募金会」が実施。

他にも、野生動物の保護、環境保全に取り組むWWF「世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature)」も、広く募金活動を実施しています。イベント開催時に寄付を募るほか、WWFジャパンHPから直接寄付することもできます。

 

義援金

災害や震災などの大きな困難に直面した人たちに対して、お見舞いや応援の気持ちを込めて贈るお金のことです。そのため、寄付とは、実質的に中味が異なります。寄付の場合は、支援を行う団体宛てとなりますが、義援金は国や自治体・支援団体を通して被災者宛てに直接贈られるのが特徴です。例えば、以下のようなものが義援金となります。

  • 2016年の熊本地震によって大きな被害を受けた際の「熊本城災害復旧支援金」
  • 2021年7月に静岡県を中心に多くの被災者を出した「令和3年7月大雨災害義援金」
  • 「個人の意志で他人に金銭を贈る」という意味では、いずれも同じです。しかし、きっかけとなるものが「自発的か他発的か」「永続的に支援を要するのか」「一定期間において支援が必要なものなのか」という違いが、それぞれの言葉によって異なります。

寄付するうえで意識しておきたいこと


各言葉の意味を踏まえたうえで、寄付を行うときに意識しておきたい点があります。義援金の場合には、贈られる先が明確です。災害が収まり、生活が安定する形で結果が見られます。一方、募金の場合は、目的のために募った費用がどのような形で使われたかで結果を見ることが可能です。

団体に贈られる寄付の場合、個人の自発的な目的や希望がきっかけとなっているため、活用用途が明確になっていないケースもあります。そのため、必ずしも寄付後の結果がわかるとはかぎりません。こうした理由から、寄付先がどのような活動や結果を残しているかを自分で確認することが必要なのです。

寄付に際しては、寄付先の活動への確認を習慣づけることで、より寄付の効果を体感できるようになるでしょう。また、寄付金が自分の意図と異なる使い方などをされるケースが起きた場合は、声を上げることで現状を是正することができます。

寄付をして終了ではなく、中長期の視点での改善を一緒に見守っていくスタンスが、寄付する側の重要な責任ともいえるでしょう。

 

欧米と日本の寄付感の違い


欧米諸国と比較すると、日本の寄付文化は遅れているといわれています。実際に、個人が行う金額や、経済全体から見た割合のどちらも、諸外国と比べてかなり低いことは明らかです。欧米には、キリスト教の「持てる者が貧しいものへ分け与えるべき」という宗教上の考え方が根付いています。

「隣人愛」の教えのもと、他者をも自分のように愛することを学びます。また、キリスト教では、働いて稼いだお金から、決められた割合を献金することも定められているのです。こうした背景があるため、メンタリティの奥深い部分で、「寄付が当然の行為」と理解しているのでしょう。

さらに、税制上の優遇が欧米(特にアメリカ)のほうが日本より多いことも、「古くから寄付行為が文化に紐づいている」ことによるようです。ただ、日本でまったく寄付文化が育っていないわけではありません。仏教の伝来とともに、「寄付・寄進」という観念が広がりました。

仏教では、すべてのものが相互依存関係にあるとされており、当時の人々は「良い行いをすると功徳を積むこととなって自分に帰る」と信じたのです。仏教の信仰を通して寺や神社、僧侶や修験者などに一般の人が寄付をする行為は、ごく日常的なものとなりました。

弱者に手を差し伸べるために寄付をする行為は、社会の成熟度を示します。日本国内でも東日本大震災を境に、寄付金額が大きな伸びを見せています。一人ひとりの力は小さくても、それが集まれば困っている人を救う大きな支援となること。

「何かしたい」「何かしよう」という意志が大切なことを、今では誰もが気付いています。宗教や歴史上の違いはあるにしても、正しく寄付を行うことによって確実に社会が良い方向へ動く前提は揺るぎません。

寄付をする行為によって何が変わるのか、社会と寄付のあり方について、それぞれが一度よく考えてみることが大切です。

寄付するうえで意識しておきたいこと

モラロジー道徳教育財団は、寄付金控除が認められている「公益財団法人」です。モラロジー(道徳科学)および倫理道徳の研究と、これに基づく社会教育を推進する内閣府認定の研究教育団体として活動しています。

モラロジー道徳教育財団の主な寄付金の使用実績をご紹介します。

 ・青少年育成(自然体験宿泊型セミナー、エッセイ募集、地域の清掃活動)
 ・子育て支援(親カフェサロン、講演会)
 ・学校教育への支援(児童・生徒対象の道徳の出前授業、教員対象の道徳授業の研究会)
 ・災害支援活動(被災地救援活動、復興ボランティア活動)
 ・シニア世代の活躍支援(講演会、健康運動教室)
 ・社会人対象生涯学習セミナー(オンライン・対面)
 ・企業の人材育成(新入社員教育、経営者・幹部対象セミナー)

モラロジー道徳教育財団に寄付することで、未来の人材の育成や安心・安全な社会づくり、災害支援活動といった貢献に参画できます。自分の意志と善意が寄付という形となり、正しく社会のために活用されているのを見届けられるでしょう。

また、モラロジー道徳教育財団への寄付は、同財団が「公益財団法人」のため、寄付金控除の対象です。国に認められた信頼性の高い寄付先を選ぶことで、寄付金が確実に社会に役立てられます。

正しい選択のために寄付について理解しよう

お金を社会のために役立てる方法は、多数あります。大切なのは、自分がどのような意図で寄付を行い、何のために使ってほしいのかということです。自身の考えに一致する支援とするためには、寄付についての理解を深め、寄付先とその活動内容をしっかりと確認する必要があります。

当財団の寄付ページ


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