「寄付」について改めて知る

寄付について考えたことがあるでしょうか。寄付は災害や病気などで困っている人を支えたり、団体などを応援したりする目的で行われます。近年はボランティア団体や災害支援、ふるさと納税などを通じて、寄付は身近な存在になりつつあります。
国によっても寄付に対する考えや寄付の方法はさまざまですが、日本では寄付は節税にもつながります。この記事では、知っているようで詳しく知られていないことも多い「寄付」についてご紹介します。
そもそも寄付は何のためにする?

まずは、寄付を何のために行うのか、その意義と社会貢献の観点から考えてみましょう。
寄付の意義
世の中には、紛争、貧困、教育、環境などの社会問題が山積しています。また、地震や水害などの自然災害が起こり、生活に支障を来す人が出てくる可能性もあるでしょう。困った人を助ける場合、国の税金(社会保障費)で賄われる場合もありますが、それだけでは十分な支援はできません。
公的な支援で足りない部分を補うのが寄付の役割です。寄付は、今よりも支え合いと思いやりのあるより良い社会をつくることに役立っています。
寄付は社会貢献
一般的には、寄付をしてもお返しに物品やサービスが受け取れるわけではありません。しかし、寄付によって助けられる人は大勢います。見返りを求めることなく、わずかながらでも寄付を、という心が、社会貢献につながるのです。
また、困っている人のために正しく使ってくれる団体に寄付することで、「自分のお金が社会の役に立っている」という満足感も得られるでしょう。寄付は、確実に社会のためになっているのです。
寄付したことはある?

日本ファンドレイジング協会が公表している『寄付白書2017』によると、日本における2016年の寄付率は45.4%、寄付した金額の平均額が約2万7,013円です。この結果を見て、「自分は寄付したことはないから約45%に入っていない」と思った方もいるかもしれません。
ただ、意識せずに寄付を行っている方も多いのではないでしょうか。ちなみに、上記の調査の寄付先別に割合を見てみると以下のようになっています。
- まちづくり・緊急災害支援・国際協力など:17.9%
- 共同募金会・日本赤十字社・自治体・町内会・宗教関連など:32.6%
- ふるさと納税:10.2%
災害が起こったときや、町内会などで行われる募金に協力した経験がある人は多いのではないでしょうか。これらも、寄付にあたります。日本では、寄付をしている意識を持つ人がそれほど多くありません。しかし、寄付文化はある程度社会に根付いているといえます。
寄付の種類

一口に「寄付」といっても、方法は一つではありません。
寄付の方法
寄付の方法は、主に以下2つに分けられます。
- 受益者に直接寄付
- 慈善団体・社会団体など仲介者に寄付
日本では、慈善団体・社会団体などの仲介団体に寄付する方法がメインとなっています。仲介団体が寄付者に代わり、困っている人や助けてほしい人に金銭や物品、サービスとして提供する方法です。この方法は、受益者を自分で探す必要がなく、比較的気軽に寄付ができる点がメリットといえます。
どのような団体に寄付するか?
仲介団体に寄付をする場合、「どのような目的で寄付金を募っているか」「集めた寄付金を適切に使っているか」については、しっかりとチェックする必要があります。せっかく寄付をするのであれば、適切な運用をしている団体を選択するようにしたいものです。
参考までに、寄付を受け付けている団体をいくつかご紹介します。寄付先を探している方は、ぜひ参考にしてください。
- 日本財団
- 国土交通大臣指定の船舶等振興機関です。国内外の公益事業を実施している団体へ事業支援を行っています。集められた寄付金は、経費を受け取ることなく、すべて必要としている団体に渡されます。
- 日本赤十字社
- 災害時の救護班の派遣や、ボランティア育成など、命を守るための活動を行う団体です。会員になって毎年寄付をする方法だけでなく、国内・海外の災害時にも寄付することができます。
- 公益財団法人モラロジー道徳教育財団
- モラロジー(道徳科学)および倫理道徳の研究と、これに基づく社会教育を推進する内閣府認定の研究教育団体です。寄付金は、自治体や地域社会と連携し、エッセイ募集等の教育事業、自然体験などによる青少年育成事業、地域社会の清掃・美化活動、災害時における救援活動等に役立てられています。
寄付・寄贈・寄進の違い
「寄付」という言葉は、よく耳にする言葉ですが、他にも「寄贈」「寄進」といった言葉もあります。これらは、寄付とどのような違いがあるのでしょうか。各意味について確認してみましょう。
- 寄付
- 団体や個人に金銭などを贈ることを指します。「寄付」と「寄附」と2つの表記がありますが、意味は変わりません。
- 寄贈
- 教育機関や医療機関、公共機関などに品物を贈ることを指します。例えば、「学校にピアノを贈る」「地域の図書館に本を贈る」などは寄贈です。
- 寄進
- 自らの意思で神社やお寺など宗教団体に金銭や品物を贈ることが寄進です。檀家や氏子、信者が行うものだけでなく、お賽銭も寄進になります。
寄付文化の国際的な差異
前出の『寄付白書2017』によると、2016年度における日本の年間個人寄付総額は、約7,756億円でした。一方で、同年の米国における年間個人寄付総額は、約30兆6,664億円で、約40倍となっています。人口比が約2.6倍あるとしても、この違いはどこから来るのでしょうか。考えられるものとして以下のような理由があります。
- 税金対策になる
- 米国では、個人が寄付した場合、課税対象所得の50%を限度に所得控除が認められています。つまり、富裕層が多額の寄付をするのは、税金対策のためともいえるでしょう。控除が認められる団体も、日本に比べてかなり多い状況です。
- 信仰のため
- 多くの米国人が信仰するキリスト教には、「清貧は美徳」という教えがあります。この教えに従い寄付を行う人も多い傾向にあります。
- 寄付年金制度がある
- 米国では、寄付をした人に対し、年金を支給している団体もあります。公的年金制度がある日本では考えにくいことかもしれませんが、年金受給を目的として寄付をする人もいるようです。
寄付金控除を知っておこう

日本では、寄付を行うと「寄付金控除」が受けられます。寄付金控除の金額は以下の通りです。
以下の1、2のいずれか低い金額-2,000円
1.その年に支出した特定寄付金額の合計額
2.その年の総所得金額等の40%相当額
ただし、どの寄付先でも控除が受けられるわけではありません。寄付金控除が受けられるのは以下の団体等になります。
- 国
- 地方公共団体
- 社会福祉法人
- 公益社団法人および公益財団法人
- NPO法人など
寄付金控除は、寄付活動の推奨のためにあるものです。優れた施策ですが、脱税目的で利用されてしまう恐れもあるため、控除ができる寄付先は厳しい基準が設けられています。控除が認められている団体であれば、寄付金の用途もはっきりしているため、信頼して頂けることができるといえるでしょう。
寄付金控除については、こちらもご覧ください。
モラロジー道徳教育財団への寄付について
モラロジー道徳教育財団は、寄付金控除が認められている「公益財団法人」です。「道徳で人と社会を幸せに」を指針として次のような事業・活動を行っています。
- 青少年育成(自然体験宿泊型セミナー、エッセイ募集、地域の清掃活動)
- 子育て支援(親カフェサロン、講演会)
- 学校教育への支援(児童・生徒対象の道徳の出前授業、教員対象の道徳授業の研究会)
- 災害支援活動(被災地救援活動、復興ボランティア活動)
- シニア世代の活躍支援(講演会、健康運動教室)
- 社会人対象生涯学習セミナー(オンライン・対面)
- 企業の人材育成(新入社員教育、経営者・幹部対象セミナー)
集められた寄付金は、これらの事業に利用されます。
よりよい社会を実現するための「寄付」だが、寄付先選びは慎重に!
寄付を行うことは、より良い社会づくりの一助となります。寄付金控除もあるため、節税できる点もメリットです。寄付金を正しく使ってもらえ、控除もできる団体を選ぶようにしましょう。