奈良県奈良会場
未来に向けた「道徳教育」
令和3年8月7日、ふるさと会館 グリーンパレス(奈良県広陵町)において、第58回道徳教育研究会を開催。「道徳教育の新たな充実をめざして ~感謝の心、思いやりの心、自立の心を育む道徳教育を~」をテーマとした講演や実践発表に、現職教員・教育関係者など、86名が耳を傾けました。

野口芳宏講師
講演:「研修の本来像を考える」
野口芳宏講師(植草学園大学 名誉教授)が、テーマに沿って、教師のあるべき姿を中心に展開。まず「法律で定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と強調。教師は伝達する能力が大事ではあるが、感化する、影響を与える能力の方がもっと大切であることを力説しました。

海老 毅講師
実践発表:「問題解決的な道徳の授業の創造 ~ITCを用いた授業実践~」
続いて実践発表では、海老 毅講師(生駒市立生駒中学校 教諭)が、「特別な教科 道徳」における問題解決的な学習に向けた取り組み内容について解説。また、ICTを用いた授業実践では、生徒自身の道徳的価値を多面的・多角的に考えるために、角度を変えると違った見え方をする画像を用いた授業や、パソコン入力により生徒が発言する垣根を低くするメリットを活用した授業などを紹介しました。一方で、ICT機器を有効に使いこなせていない現実もあり、現場の教師が研鑽を積む必要性を強調しました。

飯塚秀彦講師
特別講演:「これからの道徳教育に必要なこと」
最後に、飯塚秀彦講師(文部科学省 教科調査官)が講演。
飯塚講師は、
(1)子供たちが生きる未来
(2)コロナ禍で考える道徳教育
(3)学習指導要領と道徳教育
の3点を中心に解説。
まず、文部科学省の道徳教育の支援ツールとしてStuDX Styleを紹介。これからは情報社会4.0の時代から人工知能による膨大なデータ環境となるSociety5.0への変革期であるり、そのような多種多様な社会の中でこそ、「考える道徳」「議論する道徳」へと転換を図る必要性を強調しました。また、学習指導要領の要点として、「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」を挙げ、学校教育目標に基づく道徳教育の重点目標を立てて取り組む手順となっていものの、内容項目について全てに取り上げるのではなく、今年はAの項目、来年はBの項目と、それぞれに特化する等、重点項目として絞って取り組むことによって意味のある成果が得られると示唆しました。