このたび道徳授業の指導力向上のための小・中学校教員向けの講座を、麗澤大学生涯教育プラザにおいて4回にわたって開催しました。道徳の授業の必修化の経緯や授業における具体的な指導方法などを有識者より指導。参加者は、授業に臨む上での効果的なスキルと教育者として持つべきマインドを会得しました。
第1回 学習指導要領改正のポイント
江島顕一・麗澤大学助教、道徳科学教育センター員が解説。道徳が必修化されるに至った経緯や道徳教育に対する国の方針などを説明しました。
第2回 「考え、議論する」道徳授業のつくり方
広中忠昭・柏市立藤心小学校長が講義。教材から得られる道徳的価値を子供たち自身が考え、会得できる授業の展開の仕方を教授しました。
参加者同士でグループに分かれ、与えられた教材(『よわむし太郎』『はしの上のおおかみ』)を元に学習指導案(①子供たちに授業後にどうなっていてもらいたいかの明確化②教材と教授法の選定)を作成。でき上がった内容を発表し合い、講師からフィードバックを受けました。
第3回 道徳授業展開のポイントと評価
大舘昭彦・流山市立小山小学校長が講義。「特別の教科 道徳」の指導方法と評価の仕方について解説した後、『ロレンゾの友だち』(小学校高学年対象)を教材に、グループに分かれて指導案を作成。その後、模擬授業を行いました。
第4回 道徳教育実践者としての基礎基本
野口芳宏・植草学園大学名誉教授が講義。子供たちを教育する立場にある人間としての心構えを説きました。
現在の教育は「守・破・離」を教えられていないと主張。「義務を守れない子供が増えているが、それは『守』を飛ばして教えてしまっているから。素直なうちに善悪の判断を教えることが重要」と指摘しました。また生徒と良好な関係を築く上で大切な「信・敬・慕」を養うポイントとして、教師が明るく元気であることを挙げました。
参加者の声
「子供たちの個性の偏重やモンスターペアレントの増加などが問題視される昨今だからこそ、教師にぶれない『筋』が必要だと思った。正しいものを正しいと伝えられる教師をめざしたい」(男性:教員志望者)
「教員が授業を楽しまないと生徒が楽しめないことが、指導案の作成と模擬授業を通して分かった。教員が楽しんで道徳を教え、それを子供が楽しく学べる環境をつくっていきたい」(男性:教員志望者)