道徳授業指導力向上講座は、「特別の教科 道徳」の特色から具体的な授業展開まで、現職の教員を中心とした専門家が小・中学校の教員を対象に、3回にわたって行われます。
その第1回にあたる講座が6月11日(日)に開催されました。テーマは、「『問題解決的な道徳授業』の指導案作成と展開のポイント」。広中忠昭講師(麗澤大学講師・元柏市立藤心小学校長)は、初めに「道徳科における問題解決的な学習とは」という内容で話をしました。問題解決的な学習が、道徳授業に求められる「道徳的価値の理解」「自己を見つめる」「物事を多面的・多角的に考える」「自己の生き方についての考えを深める」という4つの用件を満たすことができる点を指摘。児童生徒一人ひとりがそれぞれ「納得解(なっとくかい)」を導き出すことが重要だと述べました。
続いて「問題解決的な道徳授業の基本型」について確認し、小学生高学年対象の教材資料「知らない間の出来事」(『私たちの道徳』小学校五・六年所収)を使って、指導案づくりに入りました。参加者は「問いがねらいに対して適切なのか」「その問いを解決していくのに、どんな学習内容を設けたらよいのか」というポイントに基づいてグループをつくって話し合い、15分間で指導案を考えました。
その後、休憩を挟んで、指導案についての意見発表や質疑応答を行いました。いろいろな指導案が発表された一方で、以下のようなやりとりがありました。
Q(参加者):
「問題解決的な学習にするために子供が問題を発見したほうがいいのか、それとも教師が問題を提起したほうがいいのか」
A(広中講師):
「授業の限られた時間の中では、子供の問題発見を待つより教師が提示して、子供が考え、議論する時間を確保することが大切である」
Q(参加者):
「従来型の道徳授業と問題解決的な道徳授業とでは、どのような点が違うのか」
A(広中講師):
「従来の教師の発問に対して子供が考えるという授業は、問いに沿って考えていけば、中心発問に到達する流れがあったが、問題解決的な授業は、早い段階で『何を考えるのか』というゴールを設定する問いがあることです」
最後に、中学生対象の教材資料「卒業文集最後の二行」(『私たちの道徳』中学校所収)に基づくグループでの話し合いと意見発表を通して、指導案作りに対する理解を深めました。
グループディスカッションでは活発な意見交換がなされました