モラロジー研究所(千葉県柏市)は学校法人廣池学園と共催で、毎年6月の第1日曜日に伝統の日「感謝の集い」を開催しています。この集まりは、創立者・廣池千九郎(法学博士)によるモラロジー(道徳科学の学術名)創建の目的を再確認すると共に、先人の恩恵に感謝し、その恩恵に報いることを学ぶ日として、本年は6月2日、当法人の理念・目的に賛同する全国の会員や学生、海外の関係者など10,000名が集いました。
◆心に羅針盤を
廣池幹堂理事長は講話の中で、平成から令和への約200年ぶりの御代(みよ)替わりを、多くの国民は好意的に受けとめたこと。特に若い世代の皇室への期待と歓迎の思いがあふれていたことに、新時代への国民の期待の大きさを感じたと述べました。
内外の情勢に触れた後、伝統祖述(伝統を受け継ぎ、発展させること)の大切を強調。「大きな事件があるたびに、多くのメディアは教育の重要性を取り上げますが、教育の原点は家庭です。しかし、家庭の中における教育という観点で、私たちはその責任を果たしているでしょうか」と問いかけました。
最後に、「21世紀は『心の時代』です。未来を担う子供には、発展する科学技術、情報洪水の中、『道徳』という間違いのない羅針盤、指針が必要です。一人ひとりにできるところから、『伝統尊重』の精神を次の世代に伝え、人づくりによる『家づくり』『企業づくり』『国づくり』に励んでまいりましょう」と、講話を結びました。
伝統の日「感謝の集い」、廣池幹堂理事長 講話
満員の会場
麗澤瑞浪中高・太鼓部の演奏で幕を開けた感謝の集い
交声曲「稀人」の演奏と合唱
◆品格とは何か
午後には、令和元年記念シンポジウムを開催。約2,400名が会場に集まりました。
シンポジウムのテーマは「品格ある国家日本をめざして」。金美齢:モラロジー研究所顧問、中山理:麗澤大学大学院特任教授、ジェイソン・モーガン:麗澤大学准教授が、国際的な視点から論じました。
金美齢顧問は、「品格とは、美意識であり、それは家族や国家という共同体の中で育まれる」と家族の大切さとそこから生まれる美意識について論じました。続いて中山教授は「周辺国家から叩かれたときに反論すると、フェイクだヘイトだと叩く人がいるが、国際法の法理をもって相手国を説得するのが品格ある国家である」と述べました。ジェイソン・モーガン准教授は、「日本で伝統の大切さを学んだ。伝統をどのように生かしていくのか、現在の民主主義は問われている」と強調しました。
品格にはじまり、幸福論や伝統と民主主義の関係など、議論は多岐に渡り、最後にコーディネーターを務めた川久保剛・人間学研究室室長が「国民一人ひとりが美しい生き方を追求していくことが、品格ある国家への道です」とまとめました。
日本人としての誇りと自信を持つことの大切さを説く 金 美齢顧問
品格とは何かを論じた3人の登壇者
惜しみない拍手を送る参加者
◆素晴らしい日本を次世代へ
式典に先立つ6月1日には、記念講演会を開催。放送作家・小説家として広く活躍されている百田尚樹氏が「新たな御代を迎え、改めて日本を振り返る」と題して講演。ゲストとして、百田氏の著書『日本国紀』の編集を務めた有本香氏(ジャーナリスト・編集プロダクション代表)も登壇。約1,700名が聴講しました。
百田氏は、まず17条憲法は考えられないほど民主的で先進性にあふれていたこと、新元号の「令和」は、日本史上初めて漢籍ではなく日本の和歌集である万葉集が出典となっていることなどを紹介。続いて、平安時代の「刀伊の入寇」や鎌倉時代の「元寇」、大東亜戦争敗戦という日本が危機に瀕した時代に触れながら、日本がそれをいかに乗り越え、復興し発展してきたのか、日本人の底力やへこたれない精神性を強調しました。
百田氏は、「豊かな日本に生まれ育った私が、ただそれに浸りきった生き方をしたならば、戦争で4人に1人は戦死した世代である父に顔向けできません。先人たちが残してくれた豊かな日本に“上乗せ”することが叶わなかった私たちの世代ですが、この素晴らしい日本をなんとか次の若い世代に受け渡して死んでいきたいと考えています」と述べ、講演を締めくくりました。
講演後、百田氏と有本氏に花束が贈呈されると、会場からは大きな拍手が湧き上がりました。
百田尚樹氏とゲストの有本香氏(記念講演会 6/1)
1,700名が参集した記念講演会(6/1)
大勢の人で賑わう芝生
天皇御即位奉祝記念特別展
企画展示「廣池千九郎の皇室研究と奉仕の事跡」
音楽会
第26回芸術展
物産展
親子で参加
記念撮影