令和元年5月4日、廣池千九郎記念講堂において、本年度第1回目の公開教養講話を開催。今回はモラロジー研究所教授・麗澤大学大学院特任教授の髙橋史朗氏が「道徳教育は家庭から~台湾の先駆的事例に学ぶ~」と題して講演。モラロジー生涯学習講座の受講者と一般参加者合わせて207名が聴講しました。
髙橋講師は、平成から令和へ改元されたことに触れ、「テレビ等のマスコミで紹介された『歴代天皇(両陛下をはじめ)のなさりようを心に刻み』『国民との関係を最重視し、国民に寄り添う』という天皇陛下のお言葉から、国民と苦楽を共にされるという姿が、実は“象徴”ということの淵源(物事の起こり基づくところ。根源)なのではないかと気づかせていただいた」と述べました。
髙橋講師は、最新の脳科学から「親性」も育つことが立証された事例を紹介。その後、現在の子育て現場の中では、子供を育てる「育児」の前に、親が親としての自分を育てる「育自」が必要であり、「問題児」と呼ばれる子供の多くは子供自身に問題行動の原因があるのではなく、子供の外部、とりわけ親にその原因があること。また、親が変わったことで子供の行動が大きく変わった例を挙げ、親の教育の重要性を強調。
「子は親の鏡であり、貶されて育つと子供は人を貶すようになる。夫や妻、子供を変えようとしてもうまくいかない。自分以外の誰かを責めても何も始まらない。自分が変わるしかない。それが唯一の道です」と述べ、講演を締めくくりました。
モラロジー研究所教授・麗澤大学大学院特任教授
髙橋史朗講師
昭和25年(1950)、兵庫県に生まれる。早稲田大学大学院修了後、米国スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員、明星大学教授、臨時教育審議会専門委員(政府委嘱)、埼玉県教育委員長等を経て、現在、公益財団法人モラロジー研究所教授、麗澤大学大学院特任教授、一般財団法人親学推進協会会長、男女共同参画会議委員(政府委嘱)、日本仏教教育学会・日本家庭教育学会常任理事を務める。著書に『検証・戦後教育』『感性を活かすホリスティック教育』『脳科学から見た日本の伝統的子育て』(以上、モラロジー研究所)、『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』(致知出版社)等がある。